【祝・バンタム級統一】井上尚弥選手が四団体統一を果たしたのでエビワラーについて語る
「『スカーレット・バイオレット』の感想は?」と思われた方もいるかもしれませんが、それは(きっと)後日。2022年12月13日、”モンスター”井上尚弥選手がついに、日本プロボクシング史上初めて主要四団体(WBA/WBC/IBF/WBO)の世界王座統一を果たしましたね。私は、6月のWBA/WBC/IBF世界バンタム級三団体統一戦(vs ノニト・ドネア@さいたまスーパーアリーナ)に続いて有明アリーナで現地観戦してきました。いやー、尚弥選手凄すぎますね。おめでとうございます。というわけで(???)、突然ですがエビワラーについて好き勝手に書いていきたいと思います。
パンチポケモン・エビワラー。初登場の作品は「赤・緑」でタイプは「かくとう」、ポケモン図鑑の情報ではたかさ:1.4 m・おもさ:50.2 kg。性別はオスしか確認されていない。特性は「するどいめ」または「てつのこぶし」。隠れ特性は「せいしんりょく」。けんかポケモン・バルキーが進化する可能性をもつ3種類のうちの1種(エビワラー以外は、キックポケモン・サワムラーと、さかだちポケモン・カポエラー)。歴代のポケモン図鑑に記載されるエビワラーの説明は以下の通り(文章ポケモンwikiより引用。また、漢字表記が存在したものはそちらのみ記載)。
赤・緑、ファイアレッド、Y
プロボクサーの 魂が 乗り移っている。 パンチの スピードは 新幹線よりも 速い。
青、リーフグリーン
なんにも してない ようでも みえない スピードで パンチを だしまくってるから きを つけろ。
ピカチュウ、Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ
ねじり込むような パンチ攻撃! コンクリートの壁が ドリル状に 削られて やがて 穴が あく。
金、ハートゴールド、シールド
空気をも 切り裂く パンチ。 だが 3分間 攻撃すると ひと休み したくなるらしい。
銀、ソウルシルバー、ソード
空気を 切り裂く パンチ。 かすっただけで 火傷に なるほど パンチの スピードは 速いのだ。
クリスタル
どんな しゅるいの パンチでも いりょくを たかめるため ひねりながら うちこんでいく。
ルビー・サファイア・エメラルド、オメガルビー・アルファサファイア
世界チャンピオンを 目指していた ボクサーの 魂が 宿ったと いわれる エビワラーは 不屈の 精神で 絶対に へこたれない。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X、ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール
腕を ねじりながら 繰り出す パンチは コンクリートも 粉砕。 3分 戦うと ひとやすみする。
見た目に加えて、魂もボクサーということがわかりますね。図鑑での説明上は、ハンドスピードが速いことに加えてコークスクリュー・ブロー様のパンチを打つことが示唆されています。コンクリートがドリル状に削られたり、粉砕されたりするほどのパンチ力もあるとのことで。これは人間には不可能なので、ポケモンだから持てるパワーということでしょうね。3分間攻撃するとひと休みしたくなる、というのはプロボクシングの1R(ラウンド)が3分間だからということでしょう。「世界チャンピオンを目指していたボクサーの魂」…とありますが、そのボクサーは残念ながら世界は獲れなかったということか。公式では存在しないはずですけど、そのようなエビワラーについての伝承・伝説みたいなものがポケモンの世界のどこかには存在するんですかね。そんな妄想が膨らみます。「不屈の精神で絶対にへこたれない」とありますが、そう書かれるとエビワラーは昔ながらの叩き上げ(ここでは、アマチュアボクシングの経験がないプロボクサーの意味)の選手で、かつ毎試合打って・打たれて、倒し・倒されのインファイターというイメージを持ってしまいますね。個人的には、エビワラーには前に出続けるインファイターではなく、中・長距離で戦うボクサー、それも距離感がよくて自分からも打てるし、きれいなカウンターを取れるスキルもある。ガードが高く、ダッキングやスリッピングアウェイ、パリィといったディフェンス技術も駆使することができる…みたいなイメージが勝手にあるのですが…。まあ、ファイトスタイルには個体差もある気がします。
特性の「するどいめ」は相手のパンチを見切れる目というイメージに基づくんですかね。ボクサーが戦うときの眼光は鋭い、というのもあると思いますが。「せいしんりょく」は、格闘家モチーフのポケモンなら説明不要というか。「てつのこぶし」はパンチのイメージが先行するであろうエビワラーなら必然となりますかね。ところで、「てつのこぶし」は伝説的なボクサーであるロベルト・デュランのニックネーム”石の拳”に名前が由来してるんでしょうか。
さて、そして「エビワラー」の名前は日本のプロボクサー・海老原博幸に由来すると言われていますね。1960年代にWBA/WBCで世界フライ級チャンピオンに戴冠した選手で、ニックネームは”カミソリ・パンチ”。左ボクサーファイター(サウスポー)。”狂った風車”ファイティング原田、”メガトン・パンチ”青木勝利に並ぶ「フライ級三羽烏」の一人。日本の男子選手では3人目の世界チャンピオンで、所属ジムは協栄ボクシングジム。あの名伯楽エディ・タウンゼントが育てた世界チャンピオンの一人だという。「エビワラー」の名前が海老原選手に由来すると考えられているのもそうなのですが、「かみなりパンチ」は”カミソリ・パンチ”由来の技名なんですかね。前述した「三羽烏」の青木選手が呼ばれた”メガトン・パンチ”はポケモンでの「メガトンパンチ」と関連する気がしているので、元ネタ・モチーフ考察としては有力な仮説なんじゃないかと思っています(私が最初に言ったわけではないですが)。ところで、私が探す限りですが、ポケモン(特にエビワラー周り)でファイティング原田選手を連想させる何かって今のところ見つからないんですよね。ニックネームの”狂った風車”(”飢えたライオンの底力”というのもあるらしい)は技名に落とし込みにくそうかな、とは思いますが。。「れんぞくパンチ」ではちょっと納得できないですかね…。”黄金のバンタム”エデル・ジョフレに勝ったこととか、幻の三階級制覇の話とか、その辺から今後何かそれっぽいの作ってくれないですかね。
願望を書き連ねていると脱線していきそうなので、エビワラーに話を戻します。図鑑表記のおもさ(体重)は50.2 kgですが、これはボクシングの階級ではフライ級(112 lb(約50.80 kg)以下)相当の体重ですね。現行の階級区分では、フライ級の一つ下・ライトフライ級のリミットは108 lb(約48.97 kg)以下になります。この体重も、名前と左構えのファイティングポーズ(サウスポーの場合、右拳が前になる)に並び、「エビワラー」が海老原選手をモデルにしたポケモンではと言われる所以ですね。あとは、ここでは詳しく書きませんが、サワムラーとケーシィ系列のポケモンも実在の人物がモデルになっていると考えられていることも理由でしょう。体重に関しては、フライ級リミットの50.8 kgに設定されていたらなーと何度も思いました。それ故に、私はPokémon Goでエビワラーの出現率が上がっているときは毎回50.8 kgのエビワラー探しに挑戦するのですが、結局未だ見つけられていません。数百グラム差は捕まえたんですが…。ちなみに、まだピカブイではチャレンジしてないです。ポケモンの「たかさ」や「おもさ」に関して、一番高い/低い/重い/軽いではなく、特定の数値、しかも特定のポケモンに限って謎のこだわり持っているのは私だけだと思っているので(私以外にいらしたらすみません)、この挑戦はなんとしても達成したいんですよねえ。正直、これに限っては色違い捕まえるよりも魅力感じますね。
ところで、エビワラーのモチーフは海老原選手であるとして、どうして海老原選手がプロボクサーの魂が宿ったポケモンのモデルとなったんでしょう。当然ですが、海老原選手以外がよかったと言いたいわでけはないです。日本人で初めて世界王座を獲得した白井義男(1952年5月19日戴冠)以降、「赤・緑」が発売される1996年2月27日(開発期間を考慮して1990年くらいまでで線を引くとしても)までの間に日本人の世界王者は何人も誕生しています。それこそ、日本初のチャンピオンである白井選手、”黄金のバンタム”に勝利したり幻の三階級制覇と言われたりという伝説的な実績を残した原田選手でなかったのはなぜか。”精密機械”沼田義明、”雑草”小林弘、”永遠のチャンピオン”大場政夫でなかったのはなぜか。他にも、アジア人で初めてライト級の世界王者になった”幻の右”ガッツ石松や、未だに破られない世界王座13連続防衛の日本記録を持つ”カンムリワシ”具志堅用高だっているし、ここに挙げていないだけで名だたるチャンピオン達が誕生している。もう少し時代がずれたら、”浪速のジョー”辰吉丈一郎だった可能性もあるのか。単なる素朴な疑問なのですが、真相はどうなんでしょうか(「エビワラー」と「サワムラー」で名前の響き的にいい感じだった、くらいな可能性もありますかね)。あるいは、世に出ている情報で私の知らない何かがあるのか…気になります。
さて。エビワラーについて私が語りたかったことは大体書き出したと思います。後から何か出てきそうで少し怖いのですが。。まあ、そのときはTwitterに投稿しようかと思います。井上尚弥選手が四団体統一した話とか、実際に現地観戦した感想とか、正式にスーパーバンタム級に階級上げたときの話(井岡一翔選手に続く日本人2人目の四階級制覇、フルトン/アフマダリエフ/ネリ/カシメロ等の選手との対戦など)とか書きたい気持ちも少しありますが、ここポケモンの話をする場なのでやめておきます。でも、今日書いたことって半分はボクシングの話ですかね。どうなんでしょう。
今回はこのあたりで終わりにしようと思います。ありがとうございました。スカーレット・バイオレットの話もきっとそのうち書きます。
“Pokémon LEGENDS アルセウス”について:キャプテンとキング・クイーンの話
“Pokémon LEGENDSアルセウス”について好き勝手に書く記事、第2弾です。
デンボクについて書いた記事と同様のスタンスで書いております(つまり、前回と同様に落書きです)。
デンボクについての話はこちら。
申し訳ありません、今回はいつも以上に引用できる画像が手元にありませんでした…。
今回はキャプテンとキング・クイーンに関する話です。
この記事を一言でまとめると、『アローラ地方と似ていませんか??』となるでしょうか。
また、前回のデンボクの話では最後にまとめの項を作らなかったのですが、読み返してみたら終わり方が良くないと思えたので今回は総括みたいな項をつくりました。
■ヒスイ地方のキャプテン
LEGENDSアルセウスの公式サイトでは、ヒスイ地方のキャプテンは以下のように説明されている(https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/story/210928_01/)。
“ヒスイ地方に暮らす人々は不思議な加護を受けたポケモンたちを大切な存在と考え、敬意を払っている。そのようなポケモンたちのお世話を任されているのが「キャプテン」だ。「キャプテン」は縄張りが荒らされないように維持したり、時には水や食べ物を供えたりと、特別なポケモンたちを護る役割を担っている。”
■「好物でキング・クイーンを呼ぶ」、これってどこかで見たような…!?
ヒスイ地方の各地にはキング・クイーンに水や食べ物を供えるための祭壇(画像1)があり、LEGENDSアルセウスのストーリー中でも彼らを呼ぶために用いられた。そして、雷に打たれ荒ぶるキング・クイーン達を鎮めにかかるわけだが…みなさま、かつて似たような経験していないだろうか。
時を数年遡り、アローラ地方を冒険したときの記憶を呼び起こしてほしい。「島めぐり」にてシェードジャングルで実施されるマオの試練では、材料集め&調理を行い、ぬしポケモンのラランテスを呼び出したはずだ。
画像1. 「黒曜の原野」の祭壇
■雷に打たれ荒ぶるキング・クイーン
さて、次に荒ぶるキングとクイーンに注目していきたい。ストーリー中ではバサギリ、ドレディア(ヒスイのすがた)、ウィンディ(ヒスイのすがた)、マルマイン(ヒスイのすがた)、クレベース(ヒスイのすがた)を鎮めることになったが、雷に打たれた彼らは全身が黄色く(?)光っていた。
前項と同様にアローラの島めぐりを思い返してみると、ぬしポケモンもまたオーラをまとい光っていた(ヒスイのキング・クイーンほどではないが)。
ヒスイのキング・クイーンは時空の裂け目、アローラのぬしポケモンはウルトラホールから影響を受けた点が類似している。もう少し具体化すると、前者はアルセウス((真の?)シンオウさま)、後者はネクロズマ(かがやきさま)の影響ということになるか(ゲーム中の描写をはじめとした公式情報でどこまで明言されていたか記憶が曖昧です…。特にネクロズマ、オーラがウルトラホール由来の光の影響というような話はビッケの考察で確認できた覚えがあるけど、ネクロズマ由来とまでは断言されていなかったような。。筆者の記憶がなかなかにいい加減ですね…)。
■キング・クイーンとぬしポケモンの体格
特にクレベースが分かりやすいかもしれないが、キング・クイーンは同じ種類のそうでないポケモンと比べて体格が大きい。同様に、アローラのぬしポケモンも通常より体格が大きいという特徴があった。ぬしポケモンの体格については、ヒスイ地方ではオヤブンに通ずるところもあるか。
少し話が逸れるが…ストーリー中、ウォロは「古代のクレベースは高さが30メートルもあったそうですよ」と発言していた。このサイズはダイマックスポケモンにも相当するような大きさだが、一体古代には何があったというのか。
画像2. ウォロによる古代のクレベースのサイズに関する説明
…安易にこの話を始めると、オーラ・ガラル粒子・リージョンフォームなどなど、風呂敷がどんどん広がって収拾がつかなくなるだけでなく、飛躍理論・トンデモ考察などに発展することが考えられるほか、今回のトピックと全く関係ない話になってしまうので別の機会に回したい。今後考える機会があったとしても、「妄想」にはなり得るが「考察」にはなりにくい可能性に注意されたし(便宜上「考察」としても多くは「妄想」の範疇を完全には脱却しないか。少々混乱してきた)。
■キャプテンについて
少しと言いつつかなり脱線しましたが、今度はキャプテン(人間)の方に着目してみます。
そもそも、「キャプテン」という名称がヒスイとアローラで同一である。それぞれキング・クイーンの世話、ぬしポケモンの世話をする役割という点が共通する。
もう一点、キャプテンによってコンゴウ団・シンジュ団といった所属の違いはあるものの、彼らは皆リングのようなものを所持している。ワサビ以外の9人は右腕(手首)、ワサビは首から下げる形で身につけているが、これはZリングまたはZパワーリングに似ているようにも見える。アローラのZリング・Zパワーリングは左腕に装着していたので、そこは相違点となるか。
Zリング・Zパワーリングではメガシンカもできたことから、メガバングルなどのアイテムと関連付けた妄想も可能か。
以下、代表してキクイとヒナツの姿を引用する。右手首にリングのようなものを装着していることがわかる(ヒナツは分かりづらいですね…公式サイト等で確認いただく方がよさそう)。
画像3. シンジュ団のキクイ
画像4. コンゴウ団のヒナツ
■「キング」と「クイーン」:ヒスイとアローラの相違点
前述してきた通り、ヒスイにおけるキングとクイーンはポケモンである一方、アローラにおけるキングとクイーン(しまキング・しまクイーン)は人間(ポケモントレーナー)である。
■総括、及びその他
一度ここまでで比較は終わりますが、ここまで考えてきたようにヒスイとアローラでキャプテンやキング・クイーンを比較すると類似点が多いように思えます。そもそも、キャプテンやキング・クイーンはポケモン世界においてはかつて地方共通の文化だったりしたのだろうか(例えば、多少形を変えつつもアローラ地方には現代まで残ったとか)。
ヒスイ地方には「カミナギのふえ」というものがあり、それによってアヤシシなどポケモンの力を借りることが可能であった。一方でアローラ地方にはライドギアがあり、ケンタロスなどのポケモンにライドすることができる。今回は、この点については考察等には繋がらないだろうという見解とし、「似ている点ではある」程度にとどめておくことにする。
ところで、ヒスイ(シンオウ)とアローラといえば、シルヴァディとアルセウスに関する話を色々できるだろうか。この辺りの妄想・考察なども、時間とともに色々なことを唱える人が出てくるかもしれませんね。既にあるかもしれませんが。
前回同様、好き勝手書いてきましたが今回はここまでにします。
前回もそうでしたけど、文末がですます調だったりそうでなかったり、内容としても全体的にまとまりがない記事ではあるのですが、、ご容赦いただければ幸いです。
以上!
読んでいただきありがとうございました!
■参考・引用
・Pokémon LEGENDSアルセウス公式サイト
https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/
・画像: Pokémon LEGENDSアルセウス
“Pokémon LEGENDS アルセウス”について:デンボクの話
久々の投稿です。図らずもPokémon Dayですね。
Twitterで書くには量が多いこと、ネタバレ配慮のためこちらで投稿します。
そこまで入念に調べていないので、ネタかぶり・情報見落とし・誤りなどを含む可能性があります。
また、妄想・考察・予想・感想などのちゃんぽんです。脈絡ないです。
はっきり言って落書きですが、よろしければどうぞ。
今回は“Pokémon LEGENDS アルセウス”の登場人物で、ギンガ団・団長のデンボクについて書いていきます。
画像1. ギンガ団団長・デンボク
■公式サイトでの紹介内容から話を広げてみる
公式サイト(https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/story/210818_04/)によれば、ダイヤモンド・パール(及びそのリメイク版ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール)・プラチナに登場するナナカマド博士の先祖にあたる人物だという。
また、相撲好きな一面があるらしい。コトブキムラ・ギンガ団本部1階の掲示板には相撲に関連しそうな掲示物があるが、これはデンボクの趣向が反映されてのことだろうか(画像2)。ポケモンシリーズで「相撲」といえば、サン・ムーン及びウルトラサン・ウルトラムーンで登場した、メレメレじまのしまキングであるハラが「アローラ相撲」(ゲーム本編中で「相撲」って漢字表記されていましたっけ?自信がない…)の親方を務めているという話があった。デンボクが好きな相撲と、アローラ相撲は関連があるのだろうか。ただし現時点では、デンボクとアローラ地方の何かが繋がるような描写はない。
画像2. コトブキムラ・ギンガ団本部1階の掲示板
■デンボクは既婚者?
ギンガ団本部3階の、彼の部屋の机には画像3のような写真が飾ってある。服装・風貌などから左の人物はデンボクである可能性があるか。右側の人物は女性に見えるが、この人物は彼の夫人であろうか。親戚や知り合いの写真である可能性も考えられるが、はっきりしたことはわからない。しかし現時点では、デンボク本人が写った写真と考えるのが自然か。ただしLEGENDSアルセウス本編では、デンボクの夫人はおろか家族らしき人物すら登場しない。ナナカマドがデンボク直系の子孫だとすれば、デンボクと夫人の間には子供がいるはずだが、その存在も確認できない。まだ生まれていない可能性も考えられるか。あるいは、デンボクが単身でヒスイ地方に来ている可能性も(妻子がこの時点ではまだ他の地方にいる可能性)。
画像3. 夫人と共に写るデンボク?の写真
■”故郷のない男”
LEGENDSアルセウス本編を進めていくと、デンボク(と、コトブキムラでイモヅル亭という食堂を切り盛りするムベ)の故郷は荒ぶるポケモンにより焼かれてしまったことが判明する(本編中の、この辺りのことが判明した際のセリフが思い出せない。スクショや動画も撮り損ねた。本編中の説明と齟齬のある表現があったらすみません)。
話が脱線するのですが、プレイしながらウルトラマンレオとその弟アストラを思い起こしていました。彼らは、マグマ星人率いる双子怪獣レッドギラス・ブラックギラスによって故郷の星・獅子座L77星を滅ぼされていたので。
どうでもいいのですが、”故郷のない男”って書いてから「どこかで聞いた事ある気がする」と思って調べたら、ウルトラマンメビウスにレオがゲスト登場した回のサブタイトルが”故郷(ふるさと)のない男”だったようですね。
■デンボクとムベの故郷はジョウト地方・チョウジタウン周辺?
話を戻しますが、前述のデンボクとムベの故郷はジョウト地方・チョウジタウン周辺ではないかという予想があるらしいですね。
ちゃんと調べてはいないのですが、理由は以下といったところでしょうか。
・デンボクの平時の服装が和装であること(画像1)
・LEGENDSアルセウスの本編にて、ディアルガ(またはパルキア)が
シンオウ神殿に出現した際の口調がジョウト地方・コガネシティを
思わせるものであること(画像4)
・ムベが実はデンボクの懐刀であり、シノビだったこと(画像5)
→チョウジタウンは「にんじゃのさと」とされている
・チョウジタウンの北側には「いかりのみずうみ」があり、
ギャラドスと関連付けられそうであること
→LEGENDSアルセウス、サンあたりのギャラドスの図鑑説明と
結びつけて考えられているのだろうか
画像4. 平時とは口調が異なるデンボク
状況証拠が複数ありそうな一方、金・銀・クリスタル及びハートゴールド・ソウルシルバーではデンボクやコガネシティの人物達(アカネやマサキなど)と同じような言葉遣いをする人物がいないという点が引っかかるか。一応、「昔は現在のチョウジタウン近辺でもコガネと同じような言葉遣いがされていたのでは」と言ってしまえるか。ただし、こじつけ感は増すかもしれない。
画像5. デンボクの懐刀・シノビのムベ
■デンボクとガラル地方
画像4のように、デンボクは自らが戦いの場に赴く際は鎧姿となる。普段が和装なら戦国武将のような甲冑では、と感じるかもしれない。
この鎧は、どうやらガラル地方に所縁あるものらしい(画像6)。デンボクのセリフが「がらる」となっているが、これはデンボクにとってガラル地方は話に聞いたことしかない未知の地域であることを表している、と考えていいだろうか。
画像6. デンボクが纏う鎧はガラル地方伝来らしい
■デンボクの鎧と類似する鎧の存在
画像7や画像8を見比べると分かるが、デンボクが纏う「がらる伝来の鎧」はカロス地方の四天王・ガンピが着用している鎧と類似(酷似、といってもいいか)している。両者に血縁のような関係はなさそうに思えるが、何か繋がり・共通点などはあるのだろうか。
画像7. デンボクが纏う鎧(画像左側)
画像8. カロス四天王・ガンピが纏う鎧
鎧の類似ということから、ガンピとガラル地方の関係性についても気になるところである。ただし、スマホ向けアプリ”Pokémon Masters EX”では、ガンピは自身の一族がカロス地方で長い歴史をもつという発言をしている(画像9)。
これらについて、まだ明かされない何かがあるのか…興味深い点ではある。
(ガンピの一族の話、X・Yとかで出てきましたっけ。今回のような場合、本編とポケマスの両方で考えるはイマイチな気がしている…)
画像9. Pokémon Mastersにて自身の家系について語るガンピ
※画像はPokémon Masters EXにリニューアルされる前のもの
■参考・引用
・Pokémon LEGENDSアルセウス公式サイト
https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/story/210818_04/
https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/character/210818_03/
・画像1-7: Pokémon LEGENDSアルセウス
・画像8, 9: Pokémon Masters / Pokémon Masters EX
番外編2:「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」発売10周年 〜当時を振り返りながら〜
@lkm_mm
早いもので、2020年9月18日で「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」発売から10年が経ちました。今回はいつもとは趣向を変え、約10年前を振り返りながら「ブラック・ホワイト」(以降BW)についてを記したいと思います。この作品にも様々なテーマが盛り込まれているかと思いますが、私は特に「多様性」や「価値観」いうものを強く感じ取ったため、こちらについて記述していきます。BWの物語をご存知の方向けです(一部背景説明を省略している場合があります)。
※私は開発に関するエピソードやストーリー解釈については知識が少ない&不得手ですので、もしかしたら皆様と捉え方が異なる部分もあるかもしれませんが…。
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遡ることおよそ10年前、「原点回帰」とも言われた最新作がどのようなものになるかに私は注目していた。この前年に発売された、「金・銀」のリメイク版である「ハートゴールド・ソウルシルバー」をそれまでの「ポケットモンスター」シリーズの集大成のようなものと受け取っていたこともあり、同一シリーズの最新作であるにもかかわらず全く触れたことがないゲームをプレイしようとしているかのような気持ちだった。新しいシリーズの「ブラック・ホワイト」では、人間とポケモンの関わりについてをストーリー中で言及していくことになるという。その結末はどのようなものになるのか。そして、最新作で新たに登場するポケモンはどのようなポケモン達なのだろうか。BWの発売前は、そのようなことを漠然と考えていたように思う。
「ブラック」と「ホワイト」の2タイトルのうち、私が選択したのは「ブラック」だった。パッケージを飾るポケモンははくようポケモン・レシラム。ゲームのタイトルとは反対に、全身が白色のポケモンである。
まずは、BWの物語を振り返ろう。ストーリーを進めて明らかとなったことだが、レシラムは「真実を司るポケモン」、一方のこくいんポケモン・ゼクロム(「ホワイト」のパッケージを飾る全身が黒色のポケモン)は「理想を司るポケモン」であるという。古代イッシュにおいて双子の王と共にあった一匹のドラゴンが、「真実」を求める兄と「理想」を求める弟の対立の結果二匹に分裂した姿だという。これはストーリー中で語られた古代のイッシュ地方に関する伝説であるが、この伝説によれば、「どちらかだけが正しいのではない」と気づいた双子の王はやがて争いを収めた。しかし双子の王の息子達は再び争いを始めてしまった。これに憤怒したレシラムとゼクロムはイッシュを一瞬で滅ぼし、姿を消したとされている。
BWでは敵組織として「プラズマ団」という集団が登場する。彼らの活動目的は「(人間に支配される)ポケモンを解放すること」であり、ストーリー中ではカラクサタウンやソウリュウシティで演説を行うほか、シッポウシティの博物館やヤグルマの森、リュウラセンの塔などで暗躍をする。このプラズマ団で「王」と祭り上げられているのがNと名乗る青年で、ポケモンの「声」を聞く特殊な力を持つという。
カラクサタウンで初めて登場するNとは初対面でバトルをすることになったが、バトル終了後にNが衝撃を受けていたことが妙に印象に残った。彼はバトルを通じて、私(主人公)のポケモンの言葉を聞いたようだったが、一体何が彼にとって衝撃だったのか。この疑問は、ストーリーの終盤まで残ることとなった。
その後、Nとは数度に渡りバトルを繰り返すこととなるが、彼は「人間とポケモンを分ける」という理想へと向かっていくのだった。そのうちの一回である「電気石の洞穴」でのバトル後には、主人公にポケモン図鑑とパートナーのポケモンを授けたアララギ博士と主人公の幼馴染であるベルが登場する。その際、ポケモン図鑑作成のためにポケモンを捕獲することに異議を唱えるNに対し、アララギ博士は以下のような発言をしている。
だけど あなたの 意見も ひとつの 考え方なら
わたしの 願うところも 同じく ひとつの 考え方よ
ポケモンと どう 付き合うべきか
それは 一人一人が 考え
決めれば いいんじゃない?
この時点でNは、このアララギ博士の意見では間違った判断をする人間が出てくる旨の考えをもっている。今から思い返せば、私が本文冒頭で述べた「多様性」や「価値観」に関する重要な場面であったように感じる。アララギ博士とベルはこのとき、電気石の洞穴にポケモンの調査(ギアルに関する調査だったと記憶している。ギアルには約100年前に突如姿を現したという話があったと思うが、その発言は確か電気石の洞穴でのアララギ博士の発言ではなかっただろうか?)に来ていた。相手(ポケモン)のことを知るために、仲良くなるためにデータを集めていた。相手が人間でもポケモンでも、それ以外の存在であっても、当然ながら自分とは異なるものである。自分の考えが絶対的に正しいと信じていたNには欠けていた考え方だ。
その後、ストーリー終盤にて、それぞれ伝説のポケモンと共に主人公とNは最終決戦に臨む。結果は主人公の勝利に終わるが、Nは戦いを通じて自身のある疑問に一つの結論を見出す。Nはイッシュ地方の各所で、イッシュの人々とポケモンが関わる様子を自身の目で実際に見てきた。その様子、特にポケモンの様子は、自身が知るそれとは全く異なるものだったのだ。自身がそれまで触れ合ってきた人間から虐げられ、悪意の下に扱われたポケモンしか知らなかったNの考えは、次第に揺れていったのだ。
同じ時代に 2人の英雄
真実を 求めるもの
理想を 求めるもの
ともに 正しいと いうのか?
……わからない
異なる 考えを 否定するのではなく
受け入れることで
世界は 化学反応を おこす
これこそが……
世界を 変えるための 数式……
「理想と現実のどちらかだけが正しいのではない」。かつて戦いの果てに、そう気付いた双子の王のように。Nは戦いの果てに、かつての王達と同じ結論を見出したのだ。
ブラックをプレイした当時、最終決戦の直前の「Nの城」にて、ゲーチス以外のプラズマ団七賢人と戦ったジムリーダーの一人・シャガの発言こそが核心をつくものであると確信した記憶がある。
そなたたちの 考えも
わからんでも ないが……
それ以外を 全て 否定する
その やりかたは 許せん
プラズマ団が主張していたような「人間とポケモンは共存するべきではなく、ポケモンは人間から解き放たれるべきだ」という主張自体は一つの考えにすぎず、一概に否定されるべきものではないはずだ(前述のように、アララギ博士が同様のことを述べている)。ポケモントレーナーの中には、ポケモンと共に過ごすうちに、「自身のパートナーは野生に帰った方が幸せなのではないか」等の考えを持つようになる者もいるだろう。反対に、これはトレーナーとそのポケモンの多くがそうであるのかもしれないが、互いが共にありたいと望む場合もある。人間とポケモンがどのような関係でありたいかを決めるのは、それぞれの人間とポケモン自身であり、他者が絶対的なあり方を規定するものではないのだ。
ストーリーの最後に、Nは自分がどうするかは自身で決めると言い、主人公へと別れを告げてその場を去った。ゲームはここでエンディングとなるが、そこで使用される曲のタイトルは「ENDING 〜それぞれの未来へ〜」。
世界には異なる考え方や価値観が存在する。それらはどれが一番正しいとか、優れているとか、そのような尺度では計れない。この物語の後に自身がどうするのか、明確には語られなかったがNはきっと自身が選んだ考え方・価値観に従って歩み始めたはずだ。このように、Nは自身の未来を進み始めた。
「では、これから君はどうするのか?どのような考えの下、何を大切にして未来へ生きるのか?」
10年経った今振り返ると、あの物語の終幕からはこのような問いかけを感じる。
これは人間とポケモンの関係という観点からは勿論、私達が「ポケットモンスター」シリーズのゲームを離れた日常生活を送るということに対しても投げかけられたように思う。私達自身は一人のプレイヤー(否、一人のポケモントレーナーという方が適切だろうか)として「ポケモン」とどのように向き合い、関わっていくのか。進学や就職、結婚、出産などのライフイベントにおいて、私達は何を考え、大切にするのか。BWプレイ当時も、10年前を振り返る現在も、そしてこの先の未来も、一人一人それぞれが決めることに変わりはない。その決断は、きっと一つとして同じではない。
さて、私が”diversity and inclusion”という言葉を初めて耳にしたのはいつだっただろうか。Nが言っていた「異なる考えを否定するのではなく受け入れる」という、まさにそれだ。BW以降のトレーナー達には様々な人種がいる。ポケモントレーナー以外の職業について描写が濃いジムリーダーもいる。様々な考えをもつ人々が登場する。
現実の世界も同じだ。様々な人種が存在し、様々な職業や活動に従事する人々がいる。ある事柄に対して、時に正反対の意見が出てくる場合もある。大切なことは、たとえ理解はできなくとも、その考えが存在することを認める姿勢ではないか。一方的に排除しようとしたり、強制を試みたり、偏った何かを押し付けようとすることが明確な間違いであり、「悪」といっても過言ではないのではないか。
BW以前も、「ポケットモンスター」シリーズは世界中でプレイされるゲーム作品だった。時が流れ、「ソード・シールド」が最新作となった今日でもそれは変わっていない。しかし、私という一個人の勝手な感覚としては、真に「世界レベルのゲーム」へと昇華したのはBWによって、だったのではないかとも思えてしまうのだ。
BWの物語についても、これまで私が記してきたような感じ方をした人がいるかもしれないし、あるいは全く異なる視点からの捉え方をした人もいるかもしれない。世界を見渡せば、きっと様々な意見が存在するのだろう。まさしく、多様な価値観が存在する世界ではないか。
ここまでお読みくださった皆様は、どのような考えをお持ちだろうか。
ご自身の考え・価値観を踏まえて、当時や現在、これからに想いを馳せてみるのはいかがだろうか。
大変僭越ながら、本文の最後に記させていただく。
「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」発売10周年、おめでとうございました。
(記念日より大遅刻 2020年9月22日)
#6.「レジ」の名を持つポケモンとポケモン世界の古代人の関係について
@lkm_mm
全て妄想です。
ほとんど勢いで書いたのでそんなに推敲できていないです。
言い過ぎな部分等、多分あります(申し訳ないです)。
いつもの通りですが、妄想したことを書き起こしたという程度の内容ですので、全ての予想etc.は将来的に全てはずれていることが分かる…というお気持ちでお願いします。
【概要】
ポケモンの中には「レジ」という名を持つポケモンが存在し、現在知られているいずれの種もポケモン世界の古代人や伝説と関わりを持つ。「ポケットモンスター ソード」・「ポケットモンスター シールド」の追加コンテンツである「エキスパンションパス」の「冠の雪原」では、新たに「レジエレキ」と「レジドラゴ」と呼ばれるポケモンが登場することが判明し、彼らもまたポケモン世界の古代人と関わりがあることが示唆された。本考察では、これまで知られていた「レジロック」、「レジアイス」、「レジスチル」、「レジギガス」と新たに登場した「レジエレキ」、「レジドラゴ」に関して2020年6月上旬時点で判明している情報を整理し、そこから考えられる事柄について記述する。
【背景】
「ポケットモンスター ソード」・「ポケットモンスター シールド」の追加コンテンツである「エキスパンションパス」では、新たに「ヨロイじま」と「カンムリせつげん」(以降「カンムリ雪原」)という舞台が登場する。これらの舞台では、ソード・シールドまでの作品では登場しなかった新たなポケモンが登場することが判明しており、2020年6月2日にはそれまで姿しか分かっていなかった数種類の新たなポケモンの名前が明らかとなった。「レジエレキ」と「レジドラゴ」は当該日に名前が判明したポケモンであり、これまで知られていた「レジロック」、「レジアイス」、「レジスチル」及び「レジギガス」の「レジ」を名前に持つポケモンとの関連が示唆されている。レジエレキとレジドラゴについてはエキスパンションパスの公式サイトで説明が公開され、彼らが特殊なエネルギーを持つことや従来の「レジ」でも示唆されるように古代人との関わりを持っていたことが明らかとなっている。しかし、2020年6月上旬時点ではそれらの詳細は明らかになっておらず、公式サイトやゲーム本編での言及が待たれる状況である。以降の記述では、2020年6月上旬時点で明らかとなっている「レジ」の名を持つポケモンの情報を整理することで、彼らに関して考えられる仮説を立案する。
【現在判明していること】
「レジ」の名を冠するポケモンは古代人との関係や伝説をもつ
まず、「ポケットモンスター ルビー」・「ポケットモンスター サファイア」で初登場したレジロック、レジアイス、レジスチルについて考える。ルビー・サファイア、及びそのマイナーチェンジ版である「エメラルド」、リメイク版である「オメガルビー」・「アルファサファイア」の舞台「ホウエン地方」には、134番水道の海でひでん技”ダイビング”を使用することで到達できる「おふれのせきしつ」(以降「おふれの石室」)と呼ばれる場所が存在する。おふれの石室には古代人が書いたと思われるいくつかの点字の文章が存在し、その一部からは古代の人々があるポケモンを閉じ込めたということが明らかとなる (文1A-C)。また、他の文は111番道路の「さばくいせき」(レジロックが存在)、105番水道の「こじまのよこあな」(レジアイスが存在)、120番道路の「こだいづか」(レジスチルが存在)の入り口を開けるための条件が書かれており、古代人と「レジ」の名をもつポケモンの関連が示唆された。しかし、「あのぽけもんをとじこめた」(文1A)や”AN ETERNAL POKEMON WAITS” (文1B)、”THE ETERNAL POKEMON WAITS” (文1C)といった文章は1匹のポケモンを示すような記述であるようにも思われるため、おふれの石室で言及されたポケモンがレジロック、レジアイス、レジスチルの3匹のことではない可能性も残る (*1)。ただし、ポケモン図鑑でのレジロックとレジスチルの説明 (文1D, F)によればこれら2種は人間の手で封印されたポケモンであるとされている。レジアイスについては同様の説明はないものの (文1E)、こじまのよこあなの最奥部にいたという状況から予想して、レジアイスも含めてこれら3種のポケモンは何らかの理由で古代人によって閉じ込められたとことは事実と考えられる。
「シンオウ地方」が舞台の「ポケットモンスター ダイヤモンド」・「ポケットモンスター パール」では、「レジギガス」と呼ばれるポケモンが登場した。レジギガスはキッサキシティの「キッサキしんでん」の最奥部に存在し、レジロック・レジアイス・レジスチルの3匹が揃うことで活動を再開する。
レジギガスがシンオウ地方やホウエン地方の古代人と何らかの関係があったかについては言及されていないが、ポケモン図鑑の説明 (文1G)によればレジギガスには大陸を縄で引っ張った伝説やレジロック・レジアイス・レジスチルの3匹を創り出したという伝説が遺されているという。
前述した通り、2020年6月2日には新たに「レジエレキ」と「レジドラゴ」というポケモンの情報が明らかとなった。「『ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス』公式サイト」によれば、レジエレキは体のほとんどが「でんきエネルギー」(いわゆる「電気」のことを示す可能性もある)で構成され、レジドラゴは「ドラゴンエネルギー」の結晶からレジギガスによって創り出されたとされる伝説があるという。また、彼らは古代人(カンムリ雪原の古代人と思われる)との関係についても言及されている。レジエレキには「電気を通さない特殊な器具のようなもの」が古代人の手によって取り付けられた可能性があるという。その理由の一つ(仮説)には「レジエレキに苦しめられていた古代の人々が、その能力を制限するために取り付けたのではないかという説」があるとされる。一方、レジドラゴは前述のようにレジギガスによって創り出されたという伝説があるとされるが、伝説ではドラゴンエネルギーの結晶が不足したことから頭部しか作られなかったという。古代人はレジドラゴが完成すれば国が滅ぼされると考えたようで、レジドラゴを神殿に封印したとされる。このように、レジエレキとレジドラゴもまた古代の人間と関わりがあり、彼らを恐れた人間によって力を抑えられていたことが示唆されている。
A
わたしたちわ この あなで くらし せいかつ し そして いきて きた
すべてわ ぽけもんの おかげだ
だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた
こわかったのだ
ゆーき ある ものよ きぼーに みちた ものよ
とびらを あけよ そこに えいえんの ぽけもんが いる
B
IN THIS CAVE WE HAVE LIVED.
WE OWE ALL TO THE POKEMON.
BUT, WE SEALED THE POKEMON AWAY.
WE FEARED IT.
THOSE WITH COURAGE, THOSE WITH HOPE.
OPEN A DOOR. AN ETERNAL POKEMON WAITS.
C
LONG DID WE LIVE HERE IN THIS CAVE.
ALL THANKS TO THE POWERFUL POKEMON LIVING ALONGSIDE US.
YET, WE SEALED THAT POKEMON AWAY, ALONE IN THE DARK.
WE FEARED IT.
IF YOU HAVE THE COURAGE, IF YOU STILL HOLD TO HOPE,
OPEN THE DOOR. FOR BEYOND IT THE ETERNAL POKEMON WAITS.
D
ルビー、オメガルビー
むかし ひとに ふういんされた ポケモン。たたかいで からだが くずれると じぶんで あたらしい いわを さがして なおすと いう。
からだを つくっている がんせきは すべて ちがう とちから ほりだされた ものであると さいきんの けんきゅうで はんめいした。
エメラルド
ぜんしんが いわと いしで できた ポケモン。たたかいで からだの いちぶが けずれてしまうが じぶんで あたらしい いわを つけて なおす。
ぜんしんが いわ。のうや しんぞうが みあたらない。げんだいの さいしん かがくでも かいめい できないのだ。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X
ぜんしんが いわで できている。 たたかいで からだが かけても いわを くっつけて なおしてしまう。
からだを つくっている がんせきと おなじ ものが せかいじゅうの あらゆる ちそうで みつかっている。
E
ルビー、オメガルビー
ひょうがじだいに つくられた こおりの からだは ほのおでも とかす ことが できない。マイナス 200どの れいきを あやつる。
マイナス200どの れいきが からだを つつむ。ちかづいた だけでも こおりついて しまうぞ。マグマでも とけない こおりの からだを もつ。
エメラルド
ぜんしんが なんきょくの こおりで できている。けんきゅうしゃが ちょうさした けっか ひょうがきに つくられた こおり らしい。
からだを ちょうさした ところ なんきょくと おなじ こおりで できている ことが はんめいした。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、Y
ひょうがきに できた こおりで からだが つくられている。 マイナス200どの れいきを あやつる。
ひょうがの なかで すうせんねん ねむっていたと いわれている。 マグマでも からだは とけない。
F
ルビー、オメガルビー
どんな きんぞくよりも かたい からだを もつ。からだの なかは くうどうに なっているらしく たべている ものも わからない ポケモンだ。
むかし ひとによって ふういんされた ポケモン。からだを つくる きんぞくは ちきゅうじょうに そんざいしない ぶっしつと かんがえられている。
エメラルド
あらゆる きんぞく よりも かたい からだ。からだの きんぞくは かたい だけでは なく のびちぢみする しょうたい ふめいの ぶっしつ。
どんな きんぞくよりも がんじょうな からだは なんまんねんも ちていの あつりょくで かためられて できた。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X
なんまんねんも ちかの あつりょくで きたえられた きんぞくの ボディは きずひとつ つかない。
どんな きんぞく よりも かたいと いわれる からだ。 ちょうさの けっか からだの なかは くうどう だった。
G
なわで しばった たいりくを ひっぱって うごかしたという でんせつが のこされている。
プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X、オメガルビー
とくしゅな ひょうざんや がんせき マグマから じぶんの すがたに にた ポケモンを つくったと いわれる。
ねんど こおり マグマを つかって レジロック レジアイス レジスチルの 3ひきを つくったと いわれている。
文1. 「レジ」の名を持つポケモンに関連するこれまでの記述
A. おふれの石室に記された点字の文章(日本語)。
B. おふれの石室に記された点字の文章(英語;ルビー・サファイア・エメラルド)。
C. おふれの石室に記された点字の文章(英語;オメガルビー・アルファサファイア)。
D. レジロックの図鑑説明。
E. レジアイスの図鑑説明。
F. レジスチルの図鑑説明。
G. レジギガスの図鑑説明。
【考察と疑問】
レジエレキと古代人の関係性
前述のように、レジエレキに取り付けられた電気を通さない器具のようなものは「レジエレキに苦しめられていた古代の人々が、その能力を制限するために取り付けたのではないか」と考えられている。「苦しめられていた」ということから、レジエレキは古代人に対して害を与えていたということが予想される。でんきタイプの技を多く扱うであろうレジエレキに対して電気対策を施していることも、この予想を支持している。また、レジエレキは”サンダープリズン”という技を使うとされるが、この技が古代人への脅威だったのだろうか。古代に生きた人々やポケモンが、この技に苦しんだという可能性があるのかもしれない。
ところで、レジエレキは古代人と関わりを持った当初から対立関係にあったのだろうか。おふれの石室の記述「すべてわ ぽけもんの おかげだ」(文1A)を考えると、「レジ」の名をもつポケモンと関わりがあったと思われるホウエン地方の古代人はポケモンからの恩恵を受けていたように考えられる。レジエレキに苦しめられた古代人がレジエレキから受けた恩恵はなかったのだろうか。電気を通さない器具(絶縁体、と呼称しても差し支えないかもしれない)を古代の時代に作り出せたというのが本当ならば、古代人はレジエレキによって電気に関する高度な知識を得ていた可能性も考えられる。もし古代人とレジエレキが元は友好関係にあったのだとしたら、古代人の文明は電気を利用した高度な文明を形成していたのかもしれない。しかし一方で、対立関係にあるレジエレキを攻略するために電気に詳しくなったという可能性も現時点では否定できない。
2020年6月2日に公開された映像・画像では、レジエレキとレジドラゴを彷彿とさせる神殿のような建造物の存在が明らかとなった。経緯についてはっきりとしたことは分からないが、レジエレキはレジドラゴとともにこの建造物に封印されているのかもしれない。
レジドラゴと古代人の関係性
レジドラゴはレジロックやレジスチルと同様に、人間の手で封印されたポケモンであることが明らかとなっている。前述のようにレジドラゴはレジギガスが創り出したという伝説があり、頭部のみの未完成な姿であるとされている。古代人がレジドラゴを封印した理由は、レジドラゴが完成したら国が滅ぼされると思ったためだというが、それは彼らにとって、頭部のみであってもレジドラゴの力がそれほどまでに強大であり、脅威となり得たということなのだろうか。
では、古代人とレジドラゴは対立関係にあったのだろうか。現時点ではどちらとも断言することができないため、ここでは予想を立てることとする。
1つ目の可能性は、元は友好関係にあったということである。ただしこの場合、古代人とレジドラゴが友好関係にあったというよりは、古代人とレジギガスが友好関係にあったとする方が正しいかもしれない。前述の通り、伝説ではレジドラゴはレジギガスがドラゴンエネルギーの結晶から生み出したポケモンだとされている。古代人がレジドラゴに脅威を感じるまでには、レジギガスがレジドラゴを創り出してからそれほどの時間を必要としなかったのではないだろうか。その場合、1つの仮説として、「古代人はレジギガスと友好関係をもっていた(何らかの恩恵を受けていた可能性もある)が、レジギガスが創り出したレジドラゴは自分達の国を滅ぼしかねない力を持つということに気づき、レジドラゴが完成する前に神殿の奥深くに封印した」と考えられるのではないだろうか。この仮説であれば、おふれの石室に記された文章 (文1A-C)に記述されている内容にも類似し、ホウエン地方の古代人とカンムリ雪原の古代人が似た行動をとった可能性も考えることができる。
2つ目の可能性は、対立関係にあったということである。この場合は、古代人はレジギガスとも対立関係にあったという可能性も生まれる。古代人とレジドラゴが対立関係にあったという仮定の下では、例えば「古代人はレジエレキとレジドラゴに苦しめられ、彼らの力を封じるための行動に踏み切った」という仮説を立てられる。この仮説を前提とし、前述したレジエレキとレジドラゴを彷彿とさせる神殿のような建造物に両者が共に封印されていると仮定すれば、この建造物の左半分が黄色(レジエレキを彷彿させる色)であり右半分が赤(レジドラゴを彷彿させる色)であることの説明になるかもしれない。
ところで、伝説では何故レジドラゴは頭部のみの未完成な姿であることが明らかとなっているのだろうか。古代人が技”ドラゴンエナジー”を使うレジドラゴの姿をドラゴンの頭部として認識したためにそのように考えたのか、あるいはレジギガスは他の「レジ」の完成体を創り出しており古代人がそれを知っていた可能性など、様々な可能性が考えられる。
古代人とレジロック・レジアイス・レジスチル・レジギガスの関係性
現在公式から公開されている映像からは、レジロック・レジアイス・レジスチル及び彼らがいると思われる神殿のような建造物が確認できる。カンムリ雪原のレジロック・レジアイス・レジスチルもまた、ホウエン地方のレジロック・レジアイス・レジスチルと同様にかつて人間の手によって封印された存在なのだろうか。
レジギガスはこれまでレジロック・レジアイス・レジスチルを創り出した伝説をもつポケモンであるということが知られていたが、今回新たにレジドラゴを創り出したという伝説をもつことも判明した。しかし現時点では、レジギガスとレジエレキの関係については言及されていない。レジドラゴはドラゴンエネルギーの結晶から創られたとされるが、同じようにレジエレキも「でんきエネルギーの結晶」とでもいうべきものから創り出された存在なのだろうか。また、カンムリ雪原のレジロック・レジアイス・レジスチルはレジドラゴを創り出したレジギガスによって創られたと語られているのだろうか。そして、レジギガスはどこにいるのだろうか。
ところで、エキスパンションパスの「鎧の孤島」で登場するポケモンであるダクマは、腹部に「かくとうエネルギー」を生み出す器官をもつという。「かくとうエネルギー」を何らかの方法で結晶化した場合、レジギガスはかくとうタイプの「レジ」を創り出すことができるのだろうか。あるいは語られていないだけで、そのようなポケモンが存在しているのだろうか。
レジエレキの特性「トランジスタ」とレジドラゴの特性「りゅうのあぎと」
ポケモンはどの種も「とくせい」(以降「特性」)と呼ばれる能力をもつが、レジエレキは「トランジスタ」、レジドラゴは「りゅうのあぎと」という特性をもつことが明らかとなっている。これらの特性がどのような能力であるかは不明だが、現在の情報から推測することが可能である。結論から言えば、トランジスタはでんきタイプの技の威力を、りゅうのあぎとはドラゴンタイプの技の威力を上げる特性であると考えられる。公式サイトの情報によれば、「レジエレキの放つでんきタイプの技の威力は、でんきタイプのポケモン随一」とされるという。また、レジドラゴは「全身がドラゴンエネルギーの結晶から作られており、特に胴体部分のエネルギー濃度は高くなっている」ために他のポケモンと比べて強い威力でドラゴンタイプの技を繰り出せるという。「トランジスタ」と「りゅうのあぎと」は、この説明を反映させた特性なのではないだろうか。
ところで、ポケモンの技の威力は道具によっても上がる場合がある。そのような効果をもつ道具にも様々な種類が存在するが、その1つに「プレート」と呼ばれる道具がある。プレートはノーマルタイプ以外のタイプに対応する全17種類が存在し、例えば「だいちのプレート」はじめんタイプの技の威力を、「しずくプレート」はみずタイプの技の威力を上昇させるといった効果をもつ。ダイヤモンド・パール、及びマイナーチェンジ版の「プラチナ」ではプレート入手時にプレートに書かれた文 (文2)を部分的に読むことができるが、これはシンオウ地上の神話で世界を創造したとされるポケモン・アルセウスに関する記述だと考えられている。この文には「プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから」という記述があるが、この「きょじん」はレジギガスに相当する存在であった可能性が示唆されている (*2)。「かつて存在した各タイプの巨人(ノーマルタイプの巨人・レジギガス以外)はアルセウスによって倒され、その力はプレートに与えられた」ということである。「トランジスタ」と「りゅうのあぎと」が前述したように特定のタイプの技の威力を上昇させる特性であるならば、プレートとの何らかの関係がある可能性も出てくるのではないだろうか。プレートの力が各タイプの技の威力を上げる力であると仮定するならば、「プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから」の「たおした きょじんたちの ちから」は巨人が持っていた特性(あるいは「でんきエネルギー」や「ドラゴンエネルギー」に相当するもの)ということになるのではないか。
また、少し大胆な予想も立つ。例えば、未完成のレジドラゴ(頭部)はドラゴンの頭部だと現時点では考えられるが、「実は巨人の頭部であり、レジドラゴの完成体はドラゴンタイプの巨人であった」などという可能性も、場合によっては出てくるのかもしれない。
うちゅう うまれるまえ そのもの ひとり こきゅうする
うちゅう うまれしとき その かけら プレートとする
プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから
そのもの じかん くうかんの 2ひき ぶんしんとして よに はなつ
そのもの じかん くうかんを つなぐ 3ひきの ポケモンをも うみだす
2ひきに もの 3びきに こころ いのり うませ せかい かたちづくる
うまれてくる ポケモン プレートの ちから わけあたえられる
プレート にぎりしもの さまざまに へんげし ちからふるう
文2. プレートに記された神話と思われる記述
*1, 2: 詳細は以下も参照
【方法】
本文中に公式サイト(【参考・引用文献】の1)から引用した文は、鉤括弧中で斜体及び下線で示した。
文1及び文2は、【参考・引用文献】の2または3を参照・引用した。
【参考・引用文献】
- 『ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス』公式サイト:https://www.pokemon.co.jp/ex/sword_shield_expansion/
- ポケモンwiki:https://wiki.ポケモン.com/wiki/
- BULBAPEDIA:https://bulbapedia.bulbagarden.net/wiki/
#5. ミュウツーに起因する各地への影響とそれらを取り巻く人々
@lkm_mm
以前「こんな考察を書こうと思っています」と言ったのですが、その第1弾です(以下の記事を参照)。気づけばそれから約4ヶ月、#4.の記事を書いてからは半年と少し経過していましたね。。
Let's GO!ピカチュウ・Let's GO!イーブイ発売直前となってしまいました。
その前に、第7世代までの内容で考えたことを一度公開します。
抜け漏れや再考の余地がある部分、おかしな部分はそれなりに見つかってくる気がしていますが…(そのうちアップデートしようと考えています)。
各所で考えられていた仮説を反芻してみたのと、それっぽいストーリーを無理やり作り上げようとした…というのが正しいのかもしれません。
***************************************
【概要】
いでんしポケモン・ミュウツーは第1世代(初代;赤・緑、青、ピカチュウ)で登場した伝説のポケモンである。第1世代ではその存在がグレンタウンに存在する廃墟であるポケモンやしきで初めて示唆され、その後殿堂入りを経てハナダのどうくつ(ななしのどうくつ)の最奥部に到達することで遭遇することができる。ポケモンやしきに残されている日記やポケモン図鑑の記述よりミュウツーは人工的に創り出されたポケモンであるとされ、その開発にはフジはかせと呼ばれる人物が深く関与することが示唆されている。近年ではカロス地方(第6世代)のポケモンのむらに存在する洞窟であるななしのどうくつに出現したほか、アローラ地方(第7世代;ウルトラサン・ウルトラムーン)に現れた組織であるレインボーロケット団のサカキの手持ちとしても登場した。しかし、ミュウツーがカロス地方やサカキとどのような関係があるかについては描写が存在せず、その詳細は不明である。本考察では、第1世代から第7世代までの物語から明らかになっている事実・証言を中心としてミュウツーと人々の関係、及びそれらの人々が与えた影響について仮説を提唱する。
【背景】
カントー地方・グレンタウンには、ポケモンやしき(以降、「ポケモン屋敷」と表記)と呼ばれる廃墟が存在する。そこにはかつて、グレンタウンに存在する研究所であるグレンラボラトリー(ポケモンけんきゅうじょ、ポケモンラボとも呼ばれる)の創設者であるフジはかせ(以降、「フジ博士」と表記)が住んでおり、ポケモンについての研究を行っていたと言われている。ポケモン屋敷にはフジ博士のものと思われる日記が残されており、しんしゅポケモン・ミュウの発見やいでんしポケモン・ミュウツーの誕生についての記録を確認することができる (文1 A)。この日記とポケモン図鑑の記述 (文1 B) より、ミュウツーはミュウの子供の遺伝子を操作することで創り出された人工のポケモンであると推測されていた。
第3世代の作品であるエメラルドでは、ふるびたかいず(以降、「古びた海図」と表記)という配信アイテムを用いることでさいはてのことう(以降、「最果ての孤島」と表記)に行くことができる。この島にはミュウが存在し、島の奥へと進むことで遭遇することができる。さらに、島のはずれには古い書き置き (文2) が残されている。この文の末尾には「…ジ」という、名前と思われる記述が存在する。これは前述したフジ博士の名前の一部である「ジ」であるという推測がなされ、書き置きの内容、島にはミュウがいたこと、ポケモン屋敷の日記、ポケモン図鑑の記述等を総合して「ミュウツーを創り出した研究者はフジ博士である」と考察されるに至った。また、不明瞭な経歴と「フジ」という名前から、ミュウツーを創り出した「フジ博士」とはシオンタウンで慈善活動を行う人物である「フジろうじん」(以降、「フジ老人」と表記)と同一人物であるという見解がなされてきた。
ゲーム本編外ではあるが、この仮説には第6世代の作品であるX・Yの発売直前に進展があった。X・Yの発売を記念して放送された特別アニメである「ポケットモンスター THE ORIGIN」に登場したフジ老人は、自らがミュウツーを創り出した人物であることを示唆する発言をした。ゲーム本編においては第7世代現在に至るまでフジ老人がミュウツーを創り出した人物であるということは直接語られていないが、「THE ORIGIN」のフジ老人の発言は、ゲーム本編においても「フジ老人とフジ博士が同一人物であり、ミュウツーを創り出した人物である」可能性を高いものとしたと言える(これらについては、さらに詳細を後述する)。
以降の記述ではミュウツーとの関連が示唆される人々や組織、事柄について述べるとともに、それぞれの関係から導き出される可能性について考えていく。
A
にっき 7がつ5か ここは みなみアメリカの ギアナ ジャングルの おくちで しんしゅの ポケモンを はっけん
にっき 7がつ10か しんはっけんの ポケモンを わたしは ミュウと なづけた
にっき 2がつ6か ミュウが こどもを うむ うまれた ばかりの ジュニアを ミュウツーと よぶことに……
にっき 9がつ1にち ポケモン ミュウツーは つよすぎる ダメだ…… わたしの てには おえない!
B
赤・緑、ファイアレッド
けんきゅうの ために いでんしを どんどん くみかえていった けっか きょうぼうな ポケモンに なった。
青、リーフグリーン、X
ひとりの かがくしゃが なんねんも おそろしい いでんし けんきゅうを つづけた けっか たんじょうした。
ミュウの いでんしと ほとんど おなじ。だが おおきさも せいかくも おそろしいほど ちがっている。
金,ハートゴールド
きょくげんまで せんとうのうりょくを たかめられたため めのまえの てきを たおすことしか かんがえなくなった。
銀、ソウルシルバー
たたかいで ちからを さいだいげんに だせるように ふだんは すこしも うごかず エネルギーをためている。
クリスタル
たたかいの ためだけに うみだされ いまは どこかの どうくつふかくで ねむっていると いわれる。
ルビー・サファイア・エメラルド、オメガルビー・アルファサファイア
いでんしそうさに よって つくられた ポケモン。にんげんの かがくりょくで からだは つくれても やさしい こころを つくることは できなかった。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、Y
ミュウの いでんしを くみかえて うみだされた。 ポケモンで いちばん きょうぼうな こころを もつという。
文1. ミュウツーに関して明らかとなっている知見
A. カントー地方・グレンタウンのポケモン屋敷に残された日記。ミュウの発見とミュウツー誕生に関する記録が残されている。
A
なんねんも まえに かかれたような
ふるい かきおきが ある‥‥
……がつ 6か
ここに たちいる にんげ…… が
ふたたび ……らわれると すれば
こころ やさし…………で あらんことを
…………こに その ねがいを しるし
この ……を あとにする
……ジ
B
The writing is fading as if it was written a long time ago…
“…ber, 6th day
If any human…sets foot here…
again…et it be a kindhearted pers…
…ith that hope, I depar…”
文2. ミュウと関係がある人物が残したと考えられる書き置き
A. 最果ての孤島に残された古い書き置き (日本語)。
B. 最果ての孤島に残された古い書き置き (英語)。
【仮説の提唱とその根拠】
フジ博士(フジ老人)以外でミュウツーとの関連が示唆される人物や組織、事柄にはどのようなものが存在するだろうか。ゲーム本編においては、第7世代の作品であるウルトラサン・ウルトラムーンに登場する組織であるレインボーロケット団が暗躍するまでその存在を示唆する描写は他に存在しなかった(後述)。本考察ではまず、(i) 本編に登場したロケット団以外の組織が伝説のポケモンを求めていたこと、(ii) 1998年に公開された、劇場版ポケットモンスターの第1作である「ミュウツーの逆襲」においてはミュウツーとロケット団には接点が存在したこと、(iii) レインボーロケット団のボスであったサカキがミュウツーを手持ちに加えていたこと、の3点に着目し、ゲーム本編においてもロケット団とミュウツーに関連があり得たかについて考えていく。
ロケット団について
ロケット団は、第1世代(初代)で登場した悪の組織である。第1世代の作品である赤・緑、青、ピカチュウ及び赤・緑のリメイク版であるファイアレッド・リーフグリーン(第3世代)ではカントー地方で暗躍し、窃盗(ハナダシティの民家における、わざマシン28 “あなをほる” の盗難)やポケモンの乱獲(シオンタウン付近(ポケモンタワーとも考えられる)でのこどくポケモン・カラカラの狩猟)、ポケモン関連のグッズを扱う企業の本社襲撃(ヤマブキシティ・シルフカンパニー本社ビルの占拠)といった悪事を働いた。ロケット団は主人公の活躍によって解散するが、その3年後の世界が舞台である金・銀、クリスタル(第2世代;ジョウト地方)及び金・銀のリメイク版であるハートゴールド・ソウルシルバー(第4世代;ジョウト地方)ではその残党が団の復活を目的として暗躍した。
カントー地方で暗躍していた頃のロケット団は、ボスであるサカキのもと、ポケモンを使った金儲け及び世界征服を目的に行動していたとされる。そのため、ロケット団のターゲットとなるポケモンや物品は多岐に渡ると予想され、必ずしも特定の目標が狙われているとは言えなかった。
ロケット団以外の組織は野望達成のために伝説のポケモンの力を欲した
第3世代以降に登場する(悪の)組織は、組織(ボス、主犯格)の野望を実現させるために伝説のポケモンを手にいれることを画策していた。ルビー・サファイア、エメラルド(第3世代;ホウエン地方)、及びルビー・サファイアのリメイク版であるオメガルビー・アルファサファイア(第6世代;ホウエン地方)に登場する組織であるマグマ団とアクア団(ルビー及びオメガルビーではマグマ団が、サファイア及びアルファサファイアではアクア団が主人公と対立する組織で、もう一方の組織は主人公と部分的な協力関係にある。エメラルドでは両組織とも主人公と対立する)は、マグマ団がたいりくポケモン・グラードンを、アクア団がかいていポケモン・カイオーガを求めていた。そして、マグマ団は世界の陸地を広げることを、アクア団は世界の海を広げることを目的としていた。ダイヤモンド・パール、プラチナ(第4世代;シンオウ地方)に登場する組織であるギンガ団は、ボスであるアカギが考える「心が存在しない完全な世界」を創造するために、ダイヤモンドではじかんポケモン・ディアルガを、パールではくうかんポケモン・パルキアを、プラチナではディアルガ、パルキアの両方を求めていた。ブラック・ホワイト(第5世代;イッシュ地方)に登場する組織であるプラズマ団は、イッシュ地方の伝説に登場するドラゴンであるこくいんポケモン・ゼクロム(ブラック)、はくようポケモン・レシラム(ホワイト)を利用して人間とポケモンを引き離そうと目論んだ(組織としては「人間からのポケモンの解放」が目的だったが、この目的の先にはプラズマ団七賢人(幹部のような役職に就く7人の知識人)の1人であるゲーチス(実質的なボス)の「ポケモンの独占」という野望が存在した)。ブラック・ホワイトから2年後のイッシュ地方が舞台であるブラック2・ホワイト2(第5世代)では2つの派閥に分裂したプラズマ団が登場するが、このうちゲーチスに賛同した派閥(もう一方は、ブラック・ホワイトで「プラズマ団の王」であったNに賛同した派閥)はきょうかいポケモン・キュレムを求め、イッシュ地方の征服を企んだ。X・Y(第6世代;カロス地方)に登場する組織であるフレア団は「争いのない美しい世界」を実現するために、Xではせいめいポケモン・ゼルネアスの力を、Yでははかいポケモン・イベルタルの力を利用して、約3000年前にカロス地方の戦争を終わらせた「最終兵器」を起動することで自分達以外の人間やポケモンの命を奪おうとした。サン・ムーン(第7世代;アローラ地方)に登場するエーテル財団の代表であるルザミーネは、一部の財団職員とならずもの集団であるスカル団を利用して、ウルトラビーストと呼ばれる異世界のポケモンを我が物にしようとせいうんポケモン・コスモッグの力を悪用した(コスモッグはげんしせいポケモン・コスモウムを経た後ににちりんポケモン・ソルガレオ、またはがちりんポケモン・ルナアーラに進化する伝説のポケモンである)。サン・ムーンとは異なるアローラ地方が舞台であるウルトラサン・ウルトラムーン(第7世代;アローラ地方)でもルザミーネはコスモッグの力を利用するが、こちらではプリズムポケモン・ネクロズマの別世界からの侵攻を阻止することが目的となっていた。このように、第3世代以降に登場した組織は少なからず伝説のポケモンに関与し、その力を利用することで目的・野望の達成を試みている(スカル団はエーテル財団に手を貸していただけであるため、スカル団自体は目的達成のために伝説のポケモンを利用していない。ただし前述の通り、エーテル財団を介して伝説のポケモンに関与はしている)。一方でロケット団は第1世代から第7世代の作品であるサン・ムーンまで、伝説のポケモンとの接点が歴代で唯一確認されていない組織であった。
サン・ムーンの次の作品であるウルトラサン・ウルトラムーンでは、「レインボーロケット団」と呼ばれる、サカキが率いる組織が登場した。このサカキは平行世界から来た人間であり、同じく平行世界から来た他の悪の組織のボス(マグマ団ボス・マツブサ、アクア団ボス・アオギリ、ギンガ団ボス・アカギ、プラズマ団七賢人(実質的なボス)・ゲーチス、フレア団ボス・フラダリ)と共にレインボーロケット団を結成していた。歴代のボス達は平行世界で野望を達成した人物であり、そのボスと関わりがあった伝説のポケモンを手持ちに加えていた(マツブサはグラードン、アオギリはカイオーガ、アカギはディアルガ(ウルトラサン)またはパルキア(ウルトラムーン)、ゲーチスはゼクロム(ウルトラサン)またはレシラム(ウルトラムーン)、フラダリはゼルネアス(ウルトラサン)またはイベルタル(ウルトラムーン)を使用)。前述の通り、ゲーム本編において、サカキ(ロケット団)はこれまで伝説のポケモンとの接点が描写されなかった。しかし、レインボーロケット団におけるサカキはミュウツーを手持ちに加えており、ウルトラサンではメガミュウツーXに、ウルトラムーンではメガミュウツーYにメガシンカさせることまで行った。何故サカキの手持ちにミュウツーが加わっていたかについて、その詳細は不明である。ここからは、その理由について仮説を提唱する。
仮説の提唱に先立ち、まずは第1世代(赤・緑、青、ピカチュウ)及び第3世代(ファイアレッド・リーフグリーン;リメイク版)においてロケット団が登場した場所を確認する。主人公の旅路の中で、ロケット団はおつきみやま(以降、「おつきみ山」と表記)で最初に姿を現した。おつきみ山は、ニビシティとハナダシティの間に存在する山である。この山は珍しいポケモンであるようせいポケモン・ピッピが出現することで知られる山であるほか、ポケモンを進化させる石の1つであるつきのいしが見つかることでも有名である。また、ポケモンの化石が見つかる場所としても知られているようで、ニビシティの掲示板には化石泥棒が出没しているという情報も掲示されていた (図1A)。この化石泥棒の正体がロケット団であり、主人公はおつきみ山で化石を狙うロケット団と対峙することになる (図1B, C)。
ロケット団はおつきみ山を越えた先の町であるハナダシティでも悪事を働いていた。ある民家はロケット団の団員による空き巣の被害に遭い、ポケモンに技を教える道具であるわざマシン(以降、「技マシン」と表記)を盗まれた (図1D-G)(この技マシンは「技マシン28」で、記録されている技は ”あなをほる” である)。また、ハナダシティの北側に位置する24番道路にもロケット団は潜んでいた。24番道路にはゴールデンボールブリッジと呼ばれる橋があり、そこでは5人のトレーナーとの勝ち抜き戦が行われていた(ただし、必ずしも連戦しなくてもよい)。これに勝ち抜けば6人目のトレーナーから道具きんのたまをもらえるが、この6人目はロケット団の団員であった。この団員は、バトルを勝ち抜いたトレーナーをロケット団にスカウトしていた (図1H)。
さらに冒険を進めていくと、シオンタウンでロケット団の話を聞くことになる。ここでは、ロケット団はカラカラの狩猟を行っていたという。ポケモンセンターでは、とあるカラカラの母親であるほねずきポケモン・ガラガラがロケット団の手にかかり、命を奪われてしまったという話が聞ける。シオンタウンには、これらの悪行を見かねてロケット団に行動を慎むように直訴した人物がいた。その人物はフジという名の老人(フジろうじん;以降、「フジ老人」と表記)で、シオンタウンのボランティアハウスで人間に傷つけられたポケモンの保護を行っている人物として知られている。あるロケット団員によれば、フジ老人はロケット団のアジトに自ら赴いてきたという。しかし逆に軟禁され、ポケモンの墓地であるポケモンタワーの最上階に捕らえられてしまっていた(ストーリーの進行上、ポケモンタワーの最上階へ進むことができるのはタマムシシティのロケット団アジト攻略後である。ただし、道具「ピッピにんぎょう」を用いればこの限りではない)。
タマムシシティにはロケットゲームコーナーと呼ばれるゲームコーナーが存在しており、コインゲームに夢中になる住人達が散見された。スロットで遊ぶ、とある人物からはロケットゲームコーナーはロケット団が経営する店であるという噂が聞ける。実際、このゲームコーナーの奥にはロケット団の団員がおり、この団員はポスターを監視しているという。実はこのポスターの下には秘密のスイッチが隠されており、それを押すと地下に広がるロケット団アジトへの階段が現れる。
カントー地方中心の大都市であるヤマブキシティには、シルフカンパニーというポケモングッズを扱う企業の本社ビルが存在する。シルフカンパニーは未知の存在の正体を見通す道具であるシルフスコープや人工のポケモンであるバーチャルポケモン(旧:シージーポケモン)・ポリゴンの開発を行ったことで知られている。さらに、ポケモンを必ず捕獲できるモンスターボールであるマスターボールの開発を行っており、ロケット団はこれを狙って本社ビルを占拠したとも考えられていた (図2A)。ロケット団ボスのサカキはシルフの社長に対して何かの要求(おそらく、試作版マスターボールの譲渡 (図2B))をしていたようだが、主人公によってこの目論見は食い止められる。
グレンタウンのジムを制覇し、最後のジムを制覇するために主人公は再びトキワシティへ赴く。トキワジムは長きに渡ってジムリーダーが不在という理由から閉鎖されていたが、ジムの目の前にいる人物によればリーダーが帰ってきたという。実はトキワジムのジムリーダーはサカキであり、サカキはトキワジムに潜伏しながら組織を立て直すことで力を失ったロケット団を再興しようと企んでいたのだった。しかし、ポケモンバトルに敗れたサカキは自らの敗北を認め、主人公にトキワジムの公認バッジであるグリーンバッジと技マシン27 “じわれ” を授ける。そして組織のトップとしての立場からロケット団を解散させ、自らもどこかへと姿を消す。
図1. おつきみ山、ハナダシティ周辺で暗躍したロケット団
A. おつきみ山の化石泥棒についてを知らせるニビシティの看板。
B, C. おつきみ山に化石を探しに来たロケット団員。
D-F. 空き巣被害にあったハナダシティの民家。
G. ハナダシティの民家へ空き巣に入ったロケット団員。
H. 24番道路(ゴールデンボールブリッジ)で勧誘を行うロケット団員。
図2. ロケット団はマスターボールを狙ってシルフカンパニー本社を占拠した
A. ロケット団のシルフ本社占拠の目的(予想)について話すシルフ社員。
B. シルフカンパニー社長とロケット団ボス・サカキの話し合いを邪魔されないように立ちはだかるロケット団員。
シオンタウンにおけるロケット団の暗躍とフジ老人
これ以降、前項で記述したロケット団の暗躍がミュウツーと関連する可能性について考えていく。本考察ではまず、シオンタウンにおけるロケット団に着目する。前述の通り、第1世代、及び第3世代でのリメイク版の物語において、ロケット団は頭に被る骨を狙ってカラカラの狩猟を行っていた (図3A)。ロケット団の行動を見かねたフジ老人は自らロケット団の元へ赴き、そのような行動をやめるように説得を行ったとされる (文3B)。その結果、フジ老人はロケット団によってポケモンタワーの最上階に軟禁されてしまったが、ここで1つ疑問が生じる。ロケット団はフジ老人を追い返すのではなく、わざわざ軟禁したのである。さらに、ポケモンタワーの頂上にいる団員は自分達を倒さない限りフジ老人を助けることはできないという発言をすることから、フジ老人を解放する気がないということも伺える (図3B)。
フジ老人の経歴
フジ老人が追い返されるわけではなく、軟禁されたことに理由はあるのだろうか。この点を考察するためにまず、フジ老人とはどのような人物なのかについて考えていく。フジ老人はシオンタウンのポケモンハウスというボランティア施設の管理人をしている人物である。人間に捨てられたポケモンの世話をしていおり、シオンタウンの住人からは心優しい人物として知られている (文3A)。しかし、あるシオンタウンの住人によれば、フジ老人はシオンタウンの出身ではないという (文3D)。フジ老人はどこから来たのだろうか。ファイアレッド・リーフフリーンでは、フジ老人の人間関係を垣間見ることができる。ファイアレッド・リーフグリーンのグレンジムには、グレンジムジムリーダーであるカツラとフジ老人の写真が飾られている (図3C, 文3E)。「かたを くんで たのしそうに わらってる!」とも描写されることから、カツラとフジ老人は仲が良いと考えられる。
フジ老人はグレンタウンと深い関わりがあったのだろうか。グレンタウンを散策していくと、「フジろうじん」とは記述されていないものの、「フジ」という名の人物の存在を知ることができる。グレンタウンはポケモン研究で有名な島として知られており (図3D)、グレンラボラトリー(ポケモンラボ;ポケモンけんきゅうじょ)という研究所が存在する。この研究所ではポケモンに関する研究が行われており、いでんしポケモン・イーブイについて語る研究員 (図3E)や技マシン35 “ゆびをふる” をくれる研究 (図3F)が在籍する。大きな特徴はポケモンの化石を復元する技術を有することで、研究員の1人である「エラーイはかせ」に頼めば太古のポケモンを復活させてもらうことができる (図3G)。グレンラボラトリーの玄関付近には創設者の写真が飾られているが、この創設者こそが「フジ」という名の研究者(フジ博士)なのである (図3H)。
グレンタウンには、着目すべき施設がもう一箇所存在する。ポケモン屋敷である。この屋敷は長い間無人であったことから荒れ果てた廃墟となっており、いつからか野生のポケモンが棲みつくようになったという (図3I)。前述したように、この屋敷にはある研究の記録が書かれた日記が残されている (文1 A)。これはフジ博士が残したミュウツー誕生の記録とされ、ミュウの発見からミュウツーが博士の手に負えなくなるまでが断片的に記されている。
その後フジ博士がどうなったかについては明らかにされていなかったが、「ポケモン考察」という観点からは、「フジ」という名とポケモンの保護という慈善活動を行っているという点(ミュウツーを創り出してしまったことに対する罪滅ぼし、と解釈されてきた)から、「シオンタウンのフジ老人」は「ミュウツーを創り出したフジ博士」と同一人物ではないかとファン(プレイヤー)によって考察されるに至った。
フジ老人に関する情報は第3世代で増加した。ファイアレッド・リーフグリーンでグレンジムにカツラとフジ老人の写真が飾られていることについては前述した通りであるが、当該作品で登場した道具であるボイスチェッカーについても着目すべきである。この道具は主人公が冒険の中で出会う著名な人物に関する証言を記録する装置であるが、証言が記録される対象人物の中にはフジ老人もいる。これは、少なくともファイアレッド・リーフグリーンにおいてはフジ老人が重要人物であることを示唆している。さらに、2005年に配信された道具である「ふるびたかいず」(以降、「古びた海図」と表記、エメラルドで受け取ることができた)を用いて訪れることができる「さいはてのことう」(以降、「最果ての孤島」)にも注目すべき情報が残されている。最果ての孤島は野生のミュウと出会うことができる島であるが、この島には古い書き置きが存在する (文2A)。この文は所々が薄れて読めなくなっているが、情報を補いながら推測すると、フジ博士が書き残した文章であると考えられている。また、この文章の英語版 (文2B)では、日本語では「…がつ」とされている部分が ”…ber” とされている。これは文章が書かれた日付が9月(September)、10月(October)、11月(November)、12月(December)のいずれかであることを示唆しており、ミュウツーが手に負えないことが記された日付が9月であること (文1 A) を考えると、こちらの日付も9月であるという見解がなされている。すなわち、ミュウツーが自身の手に負えなくなったことで、自らの研究が間違った方向に進んでいたことにようやく気がついたフジ博士が、古びた海図以外には載っていない島である(実際、最果ての孤島でマップを開いても地図中にこの島は表示されない)最果ての孤島にミュウを逃がし、文を書き残したというストーリーが見えてくる。その後はグレンタウンを去り、シオンタウンにて(罪滅ぼしのために)慈善活動を始めたと予想されている。
この仮説はゲーム中で登場した断片的な情報から考察された仮説であったものの、フジ老人がフジ博士と同一人物であるということは直接語られてはいなかった。しかし2013年、X・Yの発売を記念して放送された特別アニメである「ポケットモンスター THE ORIGIN」でこの仮説の核心を突くとも言える描写がされ、フジ老人がミュウツーを創り出したことが直接示された。この描写は「ポケットモンスター THE ORIGIN」においてはフジ老人とフジ博士が同一人物であることを意味しており、ゲーム本編においてもフジ老人とフジ博士が同一人物である可能性を極めて高いものにしたと言える。
図3. フジ老人とグレンタウンの関連性
A. シオンタウンで暗躍するロケット団について語る人物。シオンタウン周辺では、ロケット団はカラカラを襲っていたらしい。
B. ポケモンタワー最上階でフジ老人を軟禁していたロケット団員。
C. グレンジムに飾られているカツラとフジ老人の2人が写った写真。
D. グレンタウンがポケモン研究の島であることを話す20番水道のトレーナー。
E, F. グレンラボラトリーの研究員。ポケモンの進化についてや、技について研究している研究員が在籍しているようだ。
G. ポケモンのカセキを復元してくれる研究員(エラーイはかせ)。
H. グレンラボラトリーの創設者であるフジ博士の写真。
I. ポケモン屋敷について話す20番水道のトレーナー。
A
なにを しているひと?
シオンタウン/おんなのこ
じいちゃん やさしいのよ! すてられたり かえなくなった ポケモンを あずかって せわ してるの
B
どんなひと?
ポケモンタワー/ロケットだん
この じいさん ロケットだん アジトに くるなり ポケモンを いじめたり ころしたり するなって うるさくて ここで おとなの はなし あいを してた ところだ!
C
どんなひと?
シオンタウン/ざっし
ごうか しょうひんが あたる! げっかん ポケモンの とも ビッグ・プレゼント! …おうぼ ほうほうは …あら きりとって ある! けんしょうが すき なのかな?
D
こんな うわさが…
シオンタウン/おじさん
きけば フジろうじんも もともとは この まちの しゅっしんでは ないらしいな
E
かぞくや ともだちは?
グレンじまジム/しゃしん
カツラと フジろうじんの しゃしんが ある! かたを くんで たのしそうに わらってる!
F
どんなひと?
グレンじま/ポケモンジャーナル
インタビューは にがての ようで ことわられて しまいましたが シオンの ひとたちに したわれる やさしそうな かた でした
G
フジから主人公へ
きみの ポケモン だけではなく みんなの ポケモンの しあわせ… どうか きみも いのって くれんか
文3. ボイスチェッカーに記録されるフジ老人に関係する発言
A-G. フジ老人に関する発言集。ボイスチェッカーには、フジ老人の人物像が垣間見える発言が多く記録される。ポケモンジャーナルのインタビューには応じなかったということだが、これはここで言われているように単に苦手だからということなのだろうか。あるいは(何か理由があって)メディアを避けているということなのだろうか。
ロケット団はフジ老人を「かつてミュウツーを創り出した人物」として軟禁した可能性がある
前述したフジ老人の経歴を踏まえて、ロケット団がフジ老人を軟禁した理由を考察する。仮にロケット団がミュウツーを我が物にしようとしていたのだとすると、ミュウツーを創り出した人物に接触を試みることは当然とも言える。ゲーム中では描写されていないが、ロケット団はミュウツーを手にいれるためにフジ老人を軟禁したとも考えられる。ロケット団が聞き出したかった内容は「手に負えなくなったミュウツーはどこへ行ったのか」、「オリジナルのミュウはどこへ行ったのか」、「ミュウツーはどのようにして創り出されたのか」等であることが予想されるほか、フジ老人にロケット団の研究に協力することを求めていた可能性も考えられる。もっとも、フジ老人の「ポケモンに非人道的な行いをするな」という主張に反発したというのも本当のことであろう (文3B)。
ロケット団はミュウの化石を探していた可能性がある
シオンタウンでのフジ老人の軟禁以外に、ロケット団とミュウツーが関連付きそうな点はあるだろうか。本考察では次に、おつきみ山の化石に着目する。ロケット団は、おつきみ山でポケモンの化石を探していた (図1A-C)。ここでは、「化石」に着目して考察を行いたい。
映画「ミュウツーの逆襲」においても、ミュウツーは人間の科学力で創り出されたポケモンとして登場した。当該作において注目すべき点は、ミュウツーが「ミュウの睫毛の化石」より得られた遺伝情報を元に創り出されている点である。これは、「ポケモンの化石(こうらポケモン・カブトの化石である『こうらのカセキ』やうずまきポケモン・オムナイトの化石である『かいのカセキ』など)より得られた遺伝情報が古代のポケモンの復元に利用されている」という仮説と一致する(私は以前、この化石復元技術を開発・実用化したのはフジ博士であるという仮説を立てた)。仮にゲーム本編のロケット団がこの技術にも着目していたのだとすると、ロケット団がおつきみ山でポケモンの化石を狙っていた理由の解釈が少し変わってくる。ロケット団は、単に「珍しいからお金になる」という理由だけで化石を探していたわけではなかったのかもしれない。また、興味深いことに、ピカチュウ版のポケモン図鑑(ミュウの頁)ではミュウには体毛が存在すると記述されている (文4)。ミュウツーの逆襲の公開を記念して発売されたピカチュウ版でこのような記述が登場したことは、ゲーム本編の世界においてもミュウの睫毛の化石が存在するということを示唆し得るのかもしれない。
赤、緑、ファイアレッド
みなみアメリカに せいそくする ぜつめつしたはずの ポケモン。ちのうがたかく なんでも おぼえる。
青、リーフグリーン
いまでも まぼろしの ポケモンと いわれる。そのすがたを みたものは ぜんこくでも ほとんど いない。
けんびきょうで のぞいてみたら ひじょうに みじかくて ほそい こまやかな たいもうが はえていた。
金、ハートゴールド
きよらかな こころと つよく あいたいという きもちを もつと すがたを あらわすらしい。
銀、ソウルシルバー、Y
いでんしには すべての ポケモンの じょうほうが ふくまれているので あらゆる わざが つかえるという。
クリスタル
すべての わざを おぼえるため ポケモンの せんぞ ではないかと けんきゅうを はじめた ひともいる。
ルビー・サファイア・エメラルド、オメガルビー・アルファサファイア
すべての ポケモンの いでんしを もつと いう。じゆうじざいに すがたを けすことが できるので ひとに ちかづいても まったく きづかれない。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2、X
あらゆる わざを つかうため ポケモンの せんぞと かんがえる がくしゃが たくさん いる。
文4. ポケモン図鑑に記述されているミュウの説明
ポケモン図鑑におけるミュウの頁。
ハナダシティの空き巣には明確な意図が存在した可能性がある
前述した、ロケット団がおつきみ山でポケモンの化石を探していた理由についての仮説を考えるにあたっては、着目すべき事件が存在する。ニビシティ側からおつきみ山を抜けた先の町であるハナダシティでは、ある民家が空き巣被害にあっていた (図1D-F)。この犯人はロケット団の団員であるが、この団員が盗んだものは技マシン28 “あなをほる” であった (図1G)。ロケット団はポケモンに穴を掘らせる必要があったのかと考えると、これはおつきみ山の化石と結びつく。この事件は、おつきみ山において「ポケモンの化石を掘り出すために地面を掘る必要があった」ために起きた盗難であるとも考えられないだろうか。
ロケット団のシルフカンパニー本社占拠の目的はマスターボールだった可能性がある
前述した通りであるが、ロケット団はヤマブキシティのシルフカンパニー本社を占拠するという事件を起こした。この目的については複数の可能性が考えられ、ポケモングッズそのものを狙ったという可能性やポリゴンの技術を狙ったという可能性が考えられる。ここでは、シルフのある社員が予想したように (図2A)マスターボールが狙われたものとして考察を行っていく。ロケット団のボスであるサカキは社長室で何かの要求を行っていた。その詳細については明らかとなっていないが、シルフカンパニーにおいてサカキに勝利するとシルフの社長からマスターボールをもらうことができる (図4)。このマスターボールは社長曰く秘密の試作品であり、まだ製品化されていない商品であると考えられる。そのようなボールを、高値を付けることで自分たちの資金源にしようと考えるか、あるいは使ってしまおうと考えるかは定かではないが、本考察ではロケット団がマスターボールを使用する目的で求めていたと仮定する。ロケット団がマスターボールを手に入れていた場合、それはどのポケモンに使用されたのだろうか。ここで、ウルトラサン・ウルトラムーンのレインボーロケット団に着目する。レインボーロケット団のサカキは手持ちにミュウツーを加えていたが、このときにミュウツーが入っているボールに着目したい。他のボスの手持ちに加わっている伝説のポケモン達も同様ではあるが、このミュウツーはマスターボールに入れられている。レインボーロケット団に登場する各組織のボス達は、それぞれが元々いた世界で自らの野望を達成した人物達であると考えられている。レインボーロケット団のサカキは、自身の野望を達成する仮定において、シルフカンパニーからマスターボールを得ることに成功したのではないだろうか。そして、ハナダの洞窟に潜伏していたと思われるミュウツーの捕獲に着手し、手持ちに加えるに至ったと推測することができる。
図4. マスターボールはシルフカンパニーの「秘密の試作品」であった
ロケット団ボス・サカキとの戦いに勝利するとシルフの社長からマスターボールをもらえる。ロケットゲームコーナーではポリゴンが、その地下に広がるロケット団のアジトにはシルフスコープが入手できることからシルフの製品はロケット団側に流れている可能性が示唆されるが、ポケモンを必ず捕獲できるマスターボールだけは渡すわけにいかないと社長は考えていたのだろうか。
【残された謎と更なる仮説 (I)】
ここまでの記述では、ミュウツーがロケット団は関わり得たのかという点について仮説を提唱してきた。以降の記述では、前述の内容よりも手がかりが少なく、より多くの部分を推測で補わなければならない問題について考えていく。
ミュウツーは、第6世代の作品であるX・Yの冒険の舞台となるカロス地方にも登場する。カロス地方にはポケモンのむら(以降、「ポケモンの村」と表記)と呼ばれる場所が存在し、ミュウツーはそこから行くことができる洞窟であるななしのどうくつ(以降、「ななしの洞窟」と表記)に潜伏している。このミュウツーについては第7世代現在ではほとんど言及がされておらず、どのようなバックグラウンドを持つポケモンであるのかが不明である。ななしの洞窟のミュウツーは、フジ博士が創り出したミュウツーのように科学の力で創り出された存在なのだろうか。エイセツジムのジムリーダーであるウルップによれば、ポケモンの村に棲むポケモン達は人間によって酷い目に合わされた経験を持つポケモン達であるという。これはシオンタウンのポケモンハウスに身を寄せるポケモン達と似た境遇であることを思わせるが、そのような場所に潜伏するミュウツーには何かを感じるところがあったのであろうか。あるいはウルップが語るように、独りでいるという点において都合が良かったから居座っているのだろうか。真相は現在のところ不明である。
フジ博士とカロス地方は結びつくか
前述の通り、ななしの洞窟(ポケモンの村)のミュウツーのバックグラウンドについては不明であるが、ミュウツーと深い関係を持つ人物であるフジ博士が、ミュウツーの研究という点においてカロス地方と関係している可能性はあるのだろうか。そもそも、フジ博士がカロス地方と関係している可能性はあるのだろうか。この疑問に対する考察はメタ的な側面をより多く含む推測になると言わざるを得ないが、本考察では (i) 現実世界におけるギアナにはフランス領が含まれる(フランスはカロス地方のモデルとなった地域である)、(ii) ミュウツーはメガシンカすることができる、(iii) ポケモンのふえ、という3点からフジ博士とカロス地方について考えていきたい。
南米・ギアナにはフランス領が含まれている
まずは(i)について考える。ポケモン屋敷の日記には「南アメリカのギアナ」が登場する。現実世界におけるギアナは複数の国の領地となっているが、そこにはカロス地方のモデルとなった地方であるフランスが含まれている。日記の内容からはフジ博士がギアナに直接赴き、ジャングルの奥地でミュウを発見したという推測が可能であるが、この「ギアナ」はポケモン世界ではカロス領ということなのだろうか。ただし、この点について掘り下げていくのは難しい。日記の「南アメリカ」とは現実世界の南米(アメリカ大陸の南)と同義であると思われるが、カロス地方をはじめとしたポケモン世界の地理に「南米ギアナ」を組み込んで考えることが可能であるのかが不明である。また、前文では「カロス領」という表現を用いたが、これはポケモン世界の「地方」を「国」として考えた場合の表現である(オメガルビー・アルファサファイアのエピソードデルタの登場人物であるヒガナは「背の高い異国の男」という発言をしているが、ここで言及されている「男」が古代カロスの王であるAZのことを示すのだとすれば、ホウエンとカロスが別の国であるとも考えられる)。「飛び地」というニュアンスでカロス領という表現をすることも可能かもしれないが、「ポケットモンスター」というフィクション作品の世界観と現実世界の地理や行政についてを混合して考えるには多くの点を考慮しなければならず、論理的に説明を付けることが困難であると予想される。
最果ての孤島はカロス地方の近海に存在する可能性がある
前項ではギアナについて簡単な言及を行ったが、以降は最果ての孤島について考える。前述したように、最果ての孤島はホウエンマップ中には表示されない島である。では、最果ての孤島はどこに存在するのだろうか。古びた海図の詳細をゲーム中で確認することができないため詳細については不明なままであるが、おおよその位置を1つの可能性として推測することはできる。ルビー・サファイアのリメイク版であるオメガルビー・アルファサファイアでは、リメイク版の追加要素としてホウエン地方とカロス地方の関連を示唆する記述・描写が散見された。ここでは、ホウエンマップで見ることができる108番水道の説明に着目する。この説明によると、この海域にはカロス地方から泳いでくる人が存在するという。これはホウエン地方とカロス地方が地理的に近い位置に存在していることを示唆している。また、カロス地方のアズールわん(以降、「アズール湾」と表記)では、ホウエン地方から泳いできたと発言するかいパンやろうが登場する。これらの情報を合わせて考えると、アズール湾(あるいはわだつみのあな)を越えた先の海が108番水道であるという予想ができる。
カイナシティ、もしくはミナモシティから出航した船が古びた海図に示された航路を辿った先は、カロス地方の近海に存在する島なのかもしれない。本項の説明だけでは根拠に乏しいことは否めないが、前述した「ななしの洞窟のミュウツー」や、メタ的な視点故に考察が困難ではあるものの「ギアナ」について、後述する「メガシンカ」((ii)について)や「ポケモンのふえ」((iii)について)のような状況証拠はこの仮説を支持する根拠になる可能性があるのではないだろうか。
次に(ii)について考えていく。第6世代X・Yからは戦闘中限定の進化である「メガシンカ」が登場した。メガシンカにはそのポケモン専用のメガストーンが必要であるが、ミュウツーにはミュウツナイトX及びミュウツナイトYと呼ばれるメガストーンが存在する。人工のポケモンであるミュウツーがメガシンカすることができる理由については一考の余地がある。フジ博士の手で創り出されたミュウツーは、先天的にメガシンカする能力を有していたのだろうか。あるいは、フジ博士の元を離れた後に何らかの理由で後天的に獲得した能力なのだろうか。そして、ミュウツーのメガストーンの起源とは何なのであろうか。
ポケモン図鑑の記述によれば、ミュウツーは極限まで戦闘能力を高められた存在であるという。メガシンカしたポケモンは従来よりも強い力を発揮すると考えられるため、ミュウツーのメガシンカは意図して組み込まれたものであるとも考えられる。仮にそうであるとするならば、ミュウツーを創り出したフジ博士はメガシンカと関係が深い地方であるホウエンやカロスとも関係していた可能性が浮上してくる。
ゲーム本編外の話になってしまうが、アニメ「THE ORIGIN」ではフジ老人は主人公であるレッドにキーストーン(メガシンカに必要なストーンで、トレーナーが使用する)とメガストーンを託していた。このアニメにおけるフジ老人はかつてメガシンカについても研究していたらしいが、その研究成果はミュウツーにも反映されていたのかもしれない。また、このときレッドが受け取ったメガストーンはかえんポケモン・リザードンをメガシンカさせるために必要なストーンの1つであるリザードナイトXであった。ミュウツーとリザードンは2種類のメガシンカ形態(それぞれ、メガミュウツーXとメガミュウツーY、メガリザードンXとメガリザードンY)を持つポケモンであるが、これにフジ老人が関与していたことには理由があるのか、あるいは偶然なのかは興味深い点である。
前項までで(i), (ii)について言及してきたが、フジ博士がカロス地方と関与していた可能性を示唆する根拠としては弱いと言わざるを得ない。そこで、本項では(iii)について考える。ポケモンのふえ(以降、「ポケモンの笛」と表記)は、ポケモンを眠りから目覚めさせる効果を持つ音色を奏でることができる笛である。赤・緑、青、ピカチュウ及びリメイク版のファイアレッド・リーフグリーンのストーリー中では12ばんどうろ及び16ばんどうろを塞いでいるいねむりポケモン・カビゴンを起こすために必要となる。この道具は、ロケット団によって軟禁されたフジ老人を救出することでフジ老人からもらうことができる。ポケモンの笛は、X・Yのストーリー中にも登場する。カロス地方・コボクタウンにはショボンヌじょう(以降、「ショボンヌ城」と表記)という城が存在し、その城主の一族には代々ポケモンの笛が受け継がれている。X・Yに登場する城主は笛の名人であるとされ、ストーリー中では第1世代と同じように道路を塞ぐカビゴンを起こすために音色を奏でる。カロス地方では貴族の家系(城を持つ一族であることからこのように予想する)に受け継がれるほどの道具であるポケモンの笛を、フジ老人が持っていたという点には一考の余地がある。ポケモンの笛がどのような歴史、あるいは由来を持つ道具なのであるかは不明であるが、仮にカロス地方に由来する道具であるとするならば、ポケモンの笛はフジ博士とカロス地方を結びつける根拠の1つとなり得る可能性がある。
【残された謎と更なる仮説 (II)】
以降は、前述までで述べてきた仮説に対して残された疑問について、また、主に第1世代から3年後の世界である金・銀、クリスタル及びリメイク版のハートゴールド・ソウルシルバーのカントー地方から見えてくる事柄について考えていく。
ミュウツーの研究に携わった人物は1人ではない
まず、「ロケット団はフジ老人を、ミュウツーを創り出した人物として軟禁した」という前述の仮説から出てくるであろう疑問について記述する。そもそも、ロケット団がミュウツーの存在を知る可能性はあったのだろうか。この疑問に対する答えも、グレンタウンに着目することで見えてくる。フジ博士は、グレンラボラトリーの創設者である。この研究所は赤・緑、青、ピカチュウ及びファイアレッド・リーフグリーン時点で稼働していることから、グレンラボラトリーに在籍する研究員の中にはミュウツーの研究について知っている人物が存在する可能性がある。また、ポケモン屋敷の日記も注目すべきポイントがある。日本語版の日記(9月1日)は「わたし」とされているものの、英語版の日記を見てみると、7月10日 (July 10)、2月6日 (Feb. 6)、9月1日 (Sept. 1) の文には “we” という単語が使用されている (文5)。これは、ミュウツーに関する研究はフジ博士が単独で行った研究ではないことを示唆している。さらに、ポケモン屋敷の中には複数人のトレーナー(「かじばどろぼう」及び「はぐれけんきゅういん」(第1世代);「たんパンこぞう」及び「かじばどろぼう」、「けんきゅういん」(第3世代))が登場するが、この中にはフジ博士の弟子であった研究員がいる (図5A)。これらの点を考慮すると、ミュウツーの研究を知る可能性がある人物がフジ博士以外にも存在する可能性が見えてくる。また、カツラがジムリーダーを務めるグレンジムには鍵がかけられていた。ジムの扉を開けるために必要な道具であったひみつのカギはポケモン屋敷の最奥部に存在していたが、この事実はフジ博士とカツラを関連付ける可能性もある。前述したように、ファイアレッド・リーフグリーンのグレンジムにはフジ老人とカツラが仲良く写る写真が飾られていた。さらに、グレンタウンの住人の発言によれば、カツラはグレンタウンに研究所ができる前から住んでいたという (図5B)。つまり、カツラがフジ博士と面識を持っている可能性は十分に考えられることであり、フジ博士とフジ老人が同一人物であるならばカツラもミュウツーの研究を知る人物の1人である可能性すら浮上する。
ミュウツーの研究を知る可能性がある人物はこれだけにとどまらない。ポケモンの権威であるオーキドはかせ(以降、「オーキド博士」と表記)もその研究を知っていた可能性がある。オーキド博士は主人公及びライバルにポケモン図鑑を託す際、「ポケモンは150種類いる」という旨の発言を行っている。この150種にはミュウツーが含まれている。つまり、物語開始時点でオーキド博士はミュウツーの存在を知っていたことになる。また、青、リーフグリーン、Xのポケモン図鑑 (文1 B) からは、ミュウツーを創り出すための遺伝子研究は何年もかけて行われたことがわかる。主人公とライバルにポケモン図鑑が託されたのは、ポケモンを捕獲することでその生態を調べ、記述するためであった。しかし、この事実はポケモンの生態調査から明らかになる内容ではない。このような視点からも、ミュウツーの研究の詳細を知る疑惑を持つ人物をあぶり出すことができる。ただしメタ的な観点からは、前述したオーキド博士の発言は「ゲーム開始に先立つプレイヤーへのアドバイス/ヒント/説明」という側面があるとも考えられるため、人によって解釈が分かれる点かもしれない。
さらに、ポケモンリーグの関係者はミュウツーの存在そのものを知っていた(実物を見たことがあった)可能性がある。ミュウツーが潜んでいるのはハナダの洞窟であるが、第1世代及び第3世代ではこの洞窟は殿堂入り後でないと入ることができない。ポケモンリーグの関係者が洞窟の入り口前に立っているためである。この人物によれば、ハナダの洞窟はポケモンリーグの許可がないと入ることができない危険な洞窟であるという(レベルが高い野生ポケモンが生息しているため)。根拠は薄いが、ポケモンリーグがハナダの洞窟を管理下に置いた理由はミュウツーを監視するためだったとも考えられる。フジ博士らの手に負えなくなったミュウツーがハナダの洞窟に潜伏したことを知ったポケモンリーグは、ミュウツーによる事故がどこかで発生することを防ぐために監視を行うようになったとも考えられないだろうか。もしかすると、ジムリーダーであり様々な事情を知っていたカツラによってポケモンリーグに情報がもたらされた可能性もあるかもしれない。そしてこの監視は、ロケット団がハナダの洞窟に侵攻することを食い止めていたとも考えられる。前述の通り、ロケット団はおつきみ山及びハナダシティ、24番道路のゴールデンボールブリッジと、ハナダの洞窟の周りで暗躍を行っていたのである。仮にロケット団がハナダの洞窟のミュウツーに狙いを定めていたのだとしても、ポケモンリーグの監視を突破することは容易ではなかっただろう。
しかし反対に、ポケモンリーグの監視がロケット団に情報を与える原因となってしまった可能性もある。ロケット団のボスであるサカキは、トキワジムのジムリーダーでもあった。この事実は、サカキがポケモンリーグと関わりを持っていたことを示唆するものである。もしサカキがジムリーダーであったが故にハナダの洞窟やミュウツーの情報を知る機会があったのだとすれば、ロケット団にはミュウツーの情報がサカキを介して知れ渡ってしまったということになる。
ゲーム本編では、グレンタウンにはロケット団は登場しない。しかし、ミュウツーに関する情報をロケット団が掴む可能性は十分に考えられるのである。
図5. グレンタウンに見えるポケモン研究の存在
A. ポケモン屋敷のはぐれけんきゅういん。この人物はフジ博士の弟子であると考えられるが、ミュウツーやミュウについて知っていることはあるのだろうか。
B. グレンタウンの女性。この発言における研究所とはグレンラボラトリーのことだと考えられる。また、グレンジムのジムリーダーであるカツラがグレンタウンに住み始めてから長い年月が経っていると予想される。
Diary: July 5
Guyana, South America
A new Pokémon was discovered deep in the jungle.
Diary: July 10
We christened the newly discovered Pokémon, Mew.
Diary: Feb. 6
Mew gave birth.
We named the newborn Mewtwo.
Diary: Sept. 1
MEWTWO is far too powerful.
We have failed to curb its vicious
tendencies…
文5. ポケモン屋敷に残された日記(英語版)
ポケモン屋敷の日記の英語版。単数形や複数形、代名詞等に着目することで日本語の文章からは分からない情報を得ることができる。
ロケット団解散から3年後のカントー地方から考えるミュウツー考察
本項より、ロケット団解散から3年が経過したカントー地方(金・銀、クリスタル及びハートゴールド・ソウルシルバー)で見聞きできる情報からミュウツーとロケット団の関連について考えていく。メタ的には「ROMの容量」という問題があったためとも言われているが、赤・緑、青、ピカチュウのカントー地方と金・銀・クリスタルのカントー地方は大きく様子が違っている(ハートゴールド・ソウルシルバーでは、トキワのもりやハナダの洞窟といったリメイク前には簡略化、または立ち入り不可とされてしまった場所のいくつかが冒険できるようになっている)。大きく様子が変わった場所の中で、本考察でこれまで考えてきた仮説と繋がりうる事柄はあるだろうか。
シオンタウンのポケモンタワーはカントーラジオ塔へと姿を変えた
まずはシオンタウンに着目する。この町に存在したポケモンタワーは、金・銀、クリスタル、ハートゴールド・ソウルシルバーではカントーラジオとう(以降、「カントーラジオ塔」と表記)へと姿を変えていた。3年の間に一体何があったのだろうか。
ラジオとう(以降、「ラジオ塔」と表記)は、金・銀で初登場した施設の名称である。ジョウト地方においてはコガネシティに存在し、「オーキドはかせのポケモンこうざ」や「ポケモンミュージック」といった番組を配信する電波塔の役割を担っている。金・銀、クリスタル、ハートゴールド・ソウルシルバーではコガネシティのラジオ塔は団の復活を目論むロケット団の残党によって占拠されてしまい、主人公は塔の解放のために戦いを繰り広げることになる。コガネシティのラジオ塔は、ロケット団に勝利した後は全フロアの見学をすることができるようになる。これに対し、シオンタウンのラジオ塔は1階のみしか見学ができない。階段の前に立つ警備員によれば「ジョウトのラジオ塔がロケット団に占拠されたために警備を強化した」とのことである。既にロケット団の復活も頓挫した後に警戒体制を整えるというのは少し動きが遅いようにも思えるが、かつてロケット団が暗躍していたカントー地方はロケット団のような悪に対してはより敏感になっているということの表れなのかもしれない。
フジ老人はカントーラジオ塔の建設に反対しなかった可能性がある
本題に移る。ポケモンタワーは、何故カントーラジオ塔へと姿を変えるに至ったのだろうか。ポケモンの墓地であり、かつてのパートナーを偲んで多くのトレーナーが訪れる施設であったポケモンタワーを、施設として全く機能が異なるものに作り変えてしまうというのは普通ではないように思われる。ロケット団の解散から3年が経過したシオンタウンにもフジ老人は住んでいるが、彼はポケモンタワーの閉鎖に反対しなかったのだろうか。フジ老人自身の性格、及びポケモンハウスの管理人という立場を考慮すれば、彼はこれに反対しただろうと予想できる。しかし本考察では、これとは逆の可能性を考える。フジ老人は、むしろポケモンタワーの閉鎖とカントーラジオ塔の建設を推し進めたかった可能性があるのではないだろうか。
前述した通りであるが、ロケット団はフジ老人を「かつてミュウツーを創り出した人物」であるために軟禁した可能性が考えられる。前項では言及しなかったが、この仮説は以前から一部のプレイヤー(ファン)の間で既に提唱されていたものである。そしてこの仮説に付随される形でもう一つ、「ポケモンタワーにはミュウツーの暴走によって犠牲となったミュウの遺体が埋葬されている」という別の仮説も提唱されている。これら2つの仮説を合わせて考えると、フジ老人は自身が知るミュウツー創生についての技術・経緯をロケット団に知られたくなかったということだけでなく、ポケモンタワーを捜索されることでミュウの遺体がロケット団に渡ってしまう可能性に危機感を抱いた可能性が浮上する。ただし、あくまでも想像の域を出ることはなく、それらしい根拠も存在しない。しかし、この仮説の方向性を支持するならば、例えば「ミュウの遺体(遺骨)」ではなく「ミュウツー創生の仮定で犠牲になった生き物(ポケモン)」が埋葬されているという想像もできるため、妄想を広げられるポイントではあると言える。
ミュウの遺体(遺骨)や「ミュウツーの研究で犠牲になったもの」の亡骸がロケット団の手に渡るということは重大なことなのだろうか。ここで忘れてはならないのがグレンラボラトリーの化石復元技術である。詳しくは以前の考察(「#4. ポケモンの化石復元技術の原理とその開発者」)で述べた通りであるが、ミュウの遺体、もしくは遺骨からはミュウのDNAが採取される可能性が考えられる。ミュウのDNAが手に入ってしまえば、あとはフジ老人(フジ博士と同一人物という前提として話を進める)がかつて行っていたことと同様の操作をすることでロケット団は「第2のミュウツー」とでも呼ぶべき人工のポケモンを創り出していたという予想ができる。また、それがミュウではなかったとしても、フジ博士の研究の過程がロケット団の手に渡ってしまうということ自体が脅威のタネとなり得ただろう。
ロケット団に軟禁された(もしかしたら実際にミュウツーやミュウについて問い詰められたかもしれない)ことで、フジ老人が前述したような危機感を抱いたと仮定する。その場合、フジ老人は「いつか同じことを目論む人物がまた現れるかもしれない」と考えるのではないだろうか。このような可能性を危惧したのであれば、「ポケモンタワーに存在する(埋葬されている)、ミュウツー研究の犠牲になった何か」を他人の手に渡らないようにしようと画策するという可能性が浮上してくるのではないだろうか。しかし、埋葬されている遺体を掘り起こし、別の場所へ移動させるというのは簡単なことではない。ましてやシオンタウンでは名の知れた人物であるフジ老人だからこそ、そのようなことを実行に移すのは難しいかもしれない。では、どうするのか。これが根拠の存在しないただの妄想であるということは言うまでもないが、施設全体、すなわちポケモンタワー自体を手にかけてしまったとするならば、「フジ老人が利用されることを恐れている存在」、すなわち「ポケモンタワーに存在する(埋葬されている)、ミュウツー研究の犠牲になった何か」をどさくさに紛れて移動させる(隠してしまう)ことが可能とは考えられないだろうか。無茶苦茶ではあるものの、木を隠すなら森の中、という理論である。筆者としてはこのような可能性は考えたくないが、「フジ老人は表向きにはポケモンタワーの改築計画に反対していたが、実際には計画を推し進める真の黒幕であった」という可能性すら考えられるのかもしれない。
前述した仮説を支持する根拠とは言い難いが、ロケット団暗躍から3年後のシオンタウンでは興味深い話が聞ける。このシオンタウンにもポケモンハウスが存在するが、その中にいる1人の人物はフジ老人しか入れない部屋の存在を語っている。そのような部屋が本当に存在するとしたら、そこには何が存在するのだろうか。前述した仮説のようなことが本当に起こっていたとするならば、「フジ老人がポケモンタワーから移動させたかった何か」がその部屋に存在するという妄想もできないだろうか。
ただし、この仮説の反証となり得る手がかりも存在している。ポケモンタワーにミュウの遺体(遺骨)が埋葬されていたと仮定した場合、最果ての孤島に存在したミュウの解釈について矛盾が生じる可能性がある。「フジ博士が発見したミュウは1匹ではなかった」、「ミュウが産んだ子供は複数匹存在していた」とするならばこの限りではない。しかし、ポケモン屋敷の日記の英語版は”A new Pokémon was discovered deep in the jungle.”とされている。冠詞に”A”が使用されていることは”new Pokémon”が単数であることを示すため、ギアナのジャングルにてフジ博士が発見したミュウは1匹であると分かる (文5)。一方、ミュウが産んだという子供についても” Mew gave birth. We named the newborn Mewtwo.”という文より1匹であると解釈できる (文5)。これらの英文から考えると、最果ての孤島に存在したミュウはミュウツーの産みの親であると解釈可能であり、前述したような「ミュウの遺体(遺骨)」は存在しないということになる。もし本当にポケモンタワーに何かが埋葬されていたのだとすると、それはフジ博士の何年にも及ぶ研究(ポケモン図鑑の記述 (文1B)を考慮すると、ミュウの発見から約7ヶ月(ポケモン屋敷の日記の日付から算出)でミュウツーが誕生したわけではないということになる)の間で失われたものということになるのだろうか。一応、ミュウツーの父親に当たるポケモンについては何も語られていないため、そのような存在が埋葬されているという妄想も可能ではある。しかし、やはり根拠を一切伴わず、妄想の域を脱しないため、現状では考察が収束することはないだろう。
グレンタウンの噴火が人為的に引き起こされた可能性がある
次に、グレンタウンに着目する。金・銀、クリスタル、ハートゴールド・ソウルシルバーで登場したグレンタウンは、噴火によってほとんど何も存在しない町となってしまった。かつてカントー地方から旅に出たポケモントレーナーであるレッドのライバルで、レッドの前のポケモンリーグチャンピオンであり金・銀、クリスタル、ハートゴールド・ソウルシルバーでトキワジムのジムリーダーを務めるグリーンは自然の力による噴火との解釈をしていた。しかし、金・銀、クリスタル、ハートゴールド・ソウルシルバーでは火山の火口と思われる部分がかつてグレンジムが存在していた場所に存在すること、及びポケモン屋敷にはミュウツーに関する日記が残されていたという点から、プレイヤー(ファン)の間ではグレンタウンの噴火はミュウツーの研究に関する記録を隠滅するために、人為的に引き起こされたものであるという考察が行われた。グレンジムのジムリーダーであるカツラがほのおタイプ使いであるために火山への干渉が可能であると考えられていることや、カツラとフジ老人が友人関係であるということもこの仮説を支持する点とされている。
前項で記述したような危機感をフジ老人が抱いていたとするならば、この仮説も考えられる可能性の1つなのかもしれない。「ポケットモンスター」シリーズ最新作であるLet’s GO!ピカチュウ・Let’s GO!イーブイはカントー地方が冒険の舞台となることが明らかとなっているが、発売前の情報として解禁されたカントー地方のマップにはグレンタウンに火山が描かれていた。その火山は島の左側に描かれており、グレンジムが存在する場所の真逆に位置している。これは前述した仮説の元となった情報の1つ(火口と思われる場所)と相違することとなるが、実際はどうなのだろうか。この仮説についても、今後明らかになる事実次第では再考が必要となるだろう。
ハナダの洞窟の入り口は一度崩れ落ちた
赤・緑、青、ピカチュウ、ファイアレッド・リーフグリーンではミュウツーが潜伏していたハナダの洞窟であるが、金・銀、クリスタルでは入り口が崩れたために入れなくなっていた(代わりに、はかいのいでんしというミュウツーを連想させるような道具が元々入り口が存在した場所に落ちている)。一方ハートゴールド・ソウルシルバーでは洞窟が開かれており、入れるようになっていた。前述の通りであるが、メタ的には金・銀、クリスタルではデータ容量の問題からカットされたものと考えられるが、ハートゴールド・ソウルシルバーのマップでハナダの洞窟にフォーカスすると一度崩れた洞窟が再び入れるようになったということが分かる (図6)。この点は興味深い。入り口が崩れた理由、及び再び開かれた理由については不明である。しかし例えば、一度人為的に(フジ老人の手回しによって)崩された洞窟の入り口が、何者か(ミュウツー、あるいはミュウツーを狙う誰か)によって再び開かれたという妄想も可能である。
図6. ハナダの洞窟の入り口は再び開かれた
ハートゴールド・ソウルシルバーのマップで確認できるハナダの洞窟の説明。金・銀、クリスタルと同様に、一度は洞窟が崩れて入れなくなっていたことが分かる。メタ的に考えれば「リメイク版では入れるようになった」という意味にも解釈できるかもしれないが、そうでないとするならば、何故このようなことが起こったのだろうか。
今後の作品で明かされる秘密は存在するか
最後に、ゲーム本編やその他関連作品について簡単に考える。
2019年の夏に公開の映画として、劇場版ポケットモンスター最新作である「ミュウツーの逆襲 evolution」が発表されている。劇場版第1作の「ミュウツーの逆襲」では、例えばゲーム本編では関連が描かれなかったミュウツーとロケット団の接触が描かれたが、最新作では何が描かれるのだろうか。現時点ではどのような映画であるかが一切不明であるが、ミュウツーについての知られざる秘密が描かれる可能性も考えられる。タイトル的には「ミュウツーの逆襲」のリメイクや続編という受け取り方もできるため、多くの観点からこの映画への注目度は高いものと思われる。
発売が間近に迫っているシリーズ最新作である「Let’s GO!ピカチュウ」及び「Let’s GO!イーブイ」では発売前の時点で公開されているPVにミュウツーが登場しているが、そこに新しく誰かが、あるいは何かが関わってくる可能性はあるのだろうか。
本考察では触れなかったが、赤・緑、青、ピカチュウ、ファイアレッド・リーフグリーンのクチバシティに停泊する豪華客船であるサント・アンヌごう(以降、「サント・アンヌ号」と表記)にはロケット団を追う国際警察が登場した。サン・ムーンでも国際警察のメンバーが登場したが、このときは別の世界(平行世界とも考えられている)同士を繋ぐウルトラホールを潜った人物(Fallと呼ばれる)について言及がなされた。また、ウルトラサン・ウルトラムーンで登場したレインボーロケット団もウルトラホールを通じてウルトラサン・ウルトラムーンのアローラ地方に現れた。サント・アンヌ号の国際警察は、ウルトラホールに何らかの関係を持つだろうか。もし関係を持つとするならば、レインボーロケット団のサカキがミュウツーを手持ちに加えていた理由について、あるいはサカキが通るためのウルトラホールを開けるUB(ウルトラビースト;ウルトラホールを通って現れるという、別世界の存在とされるポケモン)についての手がかりを得られるかもしれない。
今後、本考察で提唱した仮説を進展させるような情報が提示されるだろうか。現在考えられる仮説の真偽はともかく、非常に興味深い。
図7. 本考察で提唱した仮説に基づく人物・組織・ポケモン間の相関図
本考察で提唱した仮説のまとめ。本文中では言及しなかったが、フジ博士がポリゴンの開発に関与していた可能性があるとすれば図のようになるだろう。フジ博士が人工のポケモンであるミュウツーの研究を行っていたこと、ポリゴンの開発がどこかの研究所で行われていたことを合わせて考えると、両者の間には関わりがあるのかもしれない。仮にそうだとするならば、ロケット団はシルフカンパニーの内部情報からフジ博士やミュウツーについての情報を得た可能性も考えられるようになる。
【方法】
「世代」の区分
本考察では、バージョン(赤・緑など)を「世代」で区分した。赤・緑、青、ピカチュウを第1世代(初代)、金・銀、クリスタルを第2世代、ルビー・サファイア、ファイアレッド・リーフグリーン、エメラルドを第3世代、ダイヤモンド・パール、プラチナ、ハートゴールド・ソウルシルバーを第4世代、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2を第5世代、X・Y、オメガルビー・アルファサファイアを第6世代、サン・ムーン、ウルトラサン・ウルトラムーンを第7世代とした。Let’s GO! ピカチュウ・Let’s GO! イーブイはこれらの区分から除外した。
画像
本考察のゲーム画像は、全て筆者のROMを用いたプレイ画面を使用した。プレイ画面はiPhone 7のカメラを用いて撮影し、MacBook Airに取り込んだものを必要に応じて編集した。画像編集及び図の作成は、Keynote (バージョン6.5.2) を使用して行った。
使用ROMと本体
ファイアレッド、ピカチュウ(VC)及びハートゴールドを使用した。各ROMの起動には、ファイアレッドはニンテンドーDS Liteを、ピカチュウ(VC)はニンテンドー3DS LLを使用した。ハートゴールドについては、両方を使用した(状況に応じて使い分けた)。
ゲーム中の記述(ポケモン屋敷の日記、最果ての孤島の文、ボイスチェッカー、ポケモン図鑑の説明文)
ポケモン屋敷の日記は、VC版ピカチュウを用いて記述を確認した。その他の記述は、日本語版は【参考・引用文献】に示す1を、英語版は2を参照した。
【謝辞】
本考察に関して、情報提供や貴重なご意見を賜った方々に感謝の意を示します。
【参考・引用文献】
今後書きたい考察について、という話
@lkm_mm
はじめに
本記事は、いつも私が書いているような考察記事ではありません(すみません…)。
今書きたいと思っているトピックに関して、こんなことを考えている…的な内容であり、かつ「是非読んで!」という宣伝を兼ねた記事です。本当は、その考察(こじつけ?)を公開する予定だったのですが…。。。
諸事情(後述)によりこのような記事を書くことに致しました。
なお、本記事には「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」上映後の告知に関する言及があります。もし読者様の中に、「その告知について(まだ)知りたくない」という方がいらっしゃいましたらご注意ください。
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本ブログは、私がTwitter (@lkm_mm)にて呟いている、ポケモンに関する考察及び妄想をまとめたブログです。過去記事を読んでくださった皆様、ありがとうございます。是非、今後ともよろしくお願いいたします。
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私が今現在まとめている考察についての話
さて、本題に移りたいと思います。現在私がまとめている考察は、「ミュウツーについて」です。図鑑No. 150, いでんしポケモン・ミュウツー。とても有名なポケモンだと思います。第1世代(赤・緑、青、ピカチュウ)においては、バトルでとんでもない強さを誇ったことでも知られていますし、劇場版ポケットモンスター第1作である「ミュウツーの逆襲」に登場したことも多くの方がご存知のことと思います。
「ミュウツーの逆襲」でも描かれたように、ミュウツーは人間の科学力によって生み出されたポケモンです。ミュウツーが創り出される過程についてはゲーム中でも断片的に語られており、それに対する考察がこれまでたくさん行われてきています。これらの考察については個人のブログやまとめサイト、動画サイト等で見たことがあるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、以下については有名な考察だと思います。
“ミュウツーを創り出した「フジはかせ」とは、シオンタウンの「フジろうじん」のことである”
これはグレンタウンで手に入る情報や、かつて配信された道具の「ふるびたかいず」を用いることで行ける島である「さいはてのことう」に残された文章から導き出された考察です。X・Y発売を記念して放送された特別アニメ「ポケットモンスター THE ORIGIN」ではこの仮説がほぼ確定となるような描写もなされ、話題となりました。他にも、「ポケモンタワーにはミュウの遺体が安置されている」や「(第1世代の時系列から2年後に)グレンタウンが噴火したのはミュウツーに関する残された情報を隠滅するため」といった仮説を聞いたことがある方もいらっしゃるのではと思います。このように、ミュウツーについては多くの人が多くの見解を示す、かなりメジャーな考察分野であると言えます。そうなると、現時点で明らかになっている情報から考えられる仮説は大体出尽くしてしまったのでは…と思われるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか。
個人的には、まだまだ妄想できる部分は残されているのではと思います。
当然、私が知る限り…ということにはなってしまうのですが、例えば次のような点はあまり言及されていないのでは、と思います(既にどこかで詳しく考察されていたらすみません。私のリサーチ不足です)。
メガシンカは第6世代の作品であるX・Yから登場した、戦闘中のみ行える一時的な進化です。メガシンカするためにはそのポケモン専用の「メガストーン」が必要なため、対応するストーンがなければなりません。ミュウツーには「ミュウツナイトX」及び「ミュウツナイトY」というメガストーンが存在します。しかし、オメガルビー・アルファサファイアのクリア後イベントである「エピソードデルタ」を踏まえて考えると、人工のポケモンであるミュウツーをメガシンカさせるメガストーンが何故存在しているのか不思議です。
「THE ORIGIN」に登場したフジろうじんはメガシンカについての知識もあったように描写されていました。この点に、いくつかの情報を付加して考えてみます。
- 南米のギアナ(フジはかせがしんしゅポケモン・ミュウを発見した地域)は、現実世界においてはフランス領である(フランスはカロス地方のモデルとなった地域)
- ホウエン地方の108番水道は、カロス地方(おそらくアズール湾)から人間が泳いで来られる位置にある
- 「さいはてのことう」はホウエンマップには表示されない(※)
- 第1世代及びファイアレッド・リーフグリーンでフジろうじんから貰える道具である「ポケモンのふえ」はカロス地方では由緒正しき城(ショボンヌ城)に伝わる笛である
※「ふるびたかいず」はエメラルドで受け取れる配信アイテムでした。「さいはてのことう」はホウエンマップの外にある島であるが、もしかするとカロス地方に近い海域に存在する島なのかもしれません。
強すぎるミュウツーがフジはかせの手に負えなくなった(グレンタウンの「ポケモンやしき」の日記より)後、残されたミュウは「さいはてのことう」に逃がされたとも考えられています。その事実に上記の情報を付加して考えてみると、フジはかせ(フジろうじん)はカロス地方と何らかの関係があったのでは、とも考えられるのではないでしょうか。カロス地方との関係があったのだとすれば、ミュウツーがメガシンカする理由についても仮説が立てられるのでは、と思います。また、カロス地方の「ポケモンのむら」にある「ななしのどうくつ」に潜伏していたミュウツーについても考えられることがありそうな気がしないでしょうか。
今回の記述だけでは説明不足な部分もあると思いますので、記載整備をした上で改めて記事にまとめたいと考えています。
そんな感じで、ミュウツーに関する考察をまとめていました! が……!
前述した以外にも、「『ハナダのどうくつ』はポケモンリーグが管理していたけど、それってミュウツーが関係しているからなの?」、「ウルトラサン・ウルトラムーンで登場した、レインボーロケット団のサカキはミュウツーを持っていたけど、そもそもゲーム中ではロケット団とミュウツーに接点あったっけ?あるいは接点があった可能性はあるの?」といった疑問についても仮説が立てられるのではと思っています。これらに関しては色々と考えたので、久々の記事更新を目指して考察をまとめていました。
そうしたら…その最中に、「ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ」「ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ」の発表がありました。聞けばこの作品、カントー地方が冒険の舞台ということです。予告映像を見ると、そこにはミュウツーの姿もありました。ストーリーの中でミュウツーの新たな情報が語られる可能性もあるので、どうなるか楽しみです。
このときは、現時点で開示されている情報で記事を書いて、新作については「次の作品で新事実が語られるかについては非常に興味深い」と記述しておけばいいだろうと考えていました。
こんなことを考えながら考察まとめを急いでいたら…さらに情報が解禁されました。
映画公開の前日にも新情報が解禁されていましたね、という話
「みんなの物語」がついに公開されましたね。私は公開日の夜に観てきました…という話もしたいのですが、ここでは取り敢えず置いておくことにします。映画公開の前に「ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ」「ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ」の新情報が開示されたことはご存知の方も多いのではと思います。相棒(ピカチュウ/イーブイ)の髪型についてや、お馴染みのあのトレーナー達の姿…などが公開されました。で、私の考察に何か影響があったのかと言いますと、若干ありました。この日に公開された情報の中にはカントー地方のマップも含まれていましたが、私が気になったのはグレンタウンの火山です。元々、グレンタウンは(赤・緑、青、ピカチュウとファイアレッド・リーフグリーンでは、地形からは分かりませんが)火山の島と言われていました。金・銀、クリスタル及びハートゴールド・ソウルシルバーでは噴火の影響でほとんど何もなくなっていますし…。その火山の位置が島のどこなのか、という点についても考えていたのですが、新しく公開されたマップに描かれている火山は私が考えていた位置とずれていたのです。これについては文章を足す必要があるので、これから書かなければならないのです…。
「みんなの物語」を観た最後、さらにすごい情報が解禁されたという話
「ミュウツーの考察、どうにかして7月18日に公開したいな」とは前々から考えていました。今から追記していて間に合うのだろうか、などと考えながら映画館に足を運んだわけなのですが。映画の最後に、なんと来年の映画の告知が出てきましたね。しかもタイトルが「ミュウツーの逆襲 evolution」だという。
正直、驚きましたね。映画がどのような内容になるのかというのも当然気になるのですが、考察という観点から思ってしまったのは、「これは記事の完成間に合わんわ」ということでした(書くのが遅いもので…)。
情報解禁を踏まえてどうするのか
でも18日にブログは更新したい。というわけで、こんな記事を書いています。
「これからミュウツーについての考察書くよ!」という宣伝です。
この考察はアップデートしていく形で公開できたらなと考えています。まずは、現時点で考えている内容をまとめた記事を、なるべく早く公開したいと思っています(第1弾)。
次に、なんだかんだ時間がなくてまだ未プレイの「名探偵ピカチュウ」をプレイして(噂によると、ミュウツーが関与するストーリーがあるそうですね。にわかですみません…)、何か新しく考えたことが出てきたらそれについて追記したいと思います(第2弾)。これは11月までにできれば理想ですが…達成できるように努力したいと思います。
そして、Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイをプレイしたら第3弾を、「ミュウツーの逆襲 evolution」が公開されたら第4弾を…という形で考察をアップデートしていければと考えています。
最後に
とにかく、2018年7月18日にミュウツーについて扱ったブログ記事を書きたかったのです。しかし考察まとめが間に合わないという事態に陥ってしまったために(納期を守れず。。。大問題ですよね…)、今回は宣伝のつもりでこのような記事を書いてみました。予告や宣伝を目的とした記事はまた書くかもしれません。
ここまで読んでくださった方、考察記事でもない駄文を読んでいただきありがとうございました。これからも色々と考察していきたいと考えていますので、是非読んでいただければと思います。少しでも「面白い」、「興味深い」、「そういう考え方もあるか」などと思っていただければ幸いです。