IgAのポケモン考察(仮称)

ポケモンに関する、Twitter (@lkm_mm) 上で吐き出した妄想をまとめていきます。

#1. カントー地方・ナナシマを中心としたポケモン世界の古代文明に関する考察

IgA (@lkm_mm)

 

【注意:はじめに】

全て妄想です。ポケモン世界に存在したと思われる古代文明について、それぞれの関係性について考えてみましたが、無理やり関連付けた部分も多いです。「そのロジックは破綻しているのでは…」という箇所、分かりにくい箇所もあると思います。それでも構わない、ということであれば(長いですが)読んでいただけると幸いです。正直自分でもやりすぎたと思っています…。(20180331)

 

 

【概要】 

 第2世代のシリーズである金・銀以降、冒険の舞台となる各地方には遺跡が登場する。それらの遺跡からはシンボルポケモンアンノーンと関係がある文明(「アンノーン文明」と定義した)や点字を使用する文明(「点字文明」と定義した)といった古代文明の存在や、それぞれの文明とポケモンとの関係性を知ることができる。しかし、その詳細やそれぞれの文明同士の関係については断片的な情報しか明らかになっていない。本考察では、かつてカントー地方・ナナシマに存在したと思われるアンノーン文明と点字文明を出発点としてポケモン世界における古代文明について検証を行い、そこから導き出されたカントー地方・ナナシマ、ジョウト地方ホウエン地方シンオウ地方古代文明の相関関係についての仮説を提唱した。

 

【背景】

 アンノーンと関係がある文明(アンノーン文明)は、金・銀でその存在が明らかとなった古代文明である。金・銀(リメイク版のハートゴールドソウルシルバー;第4世代)及びそのマイナーチェンジ版クリスタルの舞台であるジョウト地方 (図1 A) には「アルフのいせき」(以降、「アルフの遺跡」と表記)という遺跡が登場し、古代人が遺したパズルを解くことでアンノーン(アルファベットのAからZに似た26種類の姿を持つ)と遭遇できるようになる。アンノーン文明の古代人は「アンノーン文字」と呼ばれる、アンノーンの姿と形がよく似た文字を使用していた。クリスタル、ハートゴールドソウルシルバーのアルフの遺跡においては遺跡の部屋にアンノーン文字でメッセージが記されており、その指示に従うことで隠された部屋に入ることができる。また、アンノーン文明のものと思われる古代遺跡はジョウト地方以外にも存在し、ファイアレッドリーフグリーン(赤・緑(第1世代)のリメイク版)に登場する地域であるカントー地方・ナナシマ(第3世代)(図1 B) の「7のしま」(以降、「7の島」と表記)には「アスカナいせき」(以降、「アスカナ遺跡」と表記)及び「アスカナのかぎ」(以降、「アスカナの鍵」と表記)、ダイヤモンド・パール及びマイナーチェンジ版プラチナの舞台であるシンオウ地方(第4世代)(図1 C) のズイタウンには「ズイのいせき」(以降、「ズイの遺跡」と表記)が存在する。さらに、第3世代以降は「!」と「?」の記号に似た姿を持つ2種類のアンノーンが追加され、アンノーンの姿は全28種類となった。前述の通り、現在明らかになっているアンノーン文明の遺跡はカントー(ナナシマ)、ジョウトシンオウの3地方に存在するが、これらの遺跡に関連があるのかについては不明である。

 点字を使用する文明(点字文明)は、第3世代のシリーズであるルビー・サファイア(冒険の舞台はホウエン地方 (図1 D))でその存在が明らかとなった古代文明である。ルビー・サファイア(リメイク版のオメガルビーアルファサファイア;第6世代)、そのマイナーチェンジ版エメラルドでは「おふれのせきしつ」(以降、「おふれの石室」と表記)でその存在を初めて知ることができる。この文明の古代人は点字を使用して文章を書いていたようで、点字文明の遺跡に遺された文章は全て点字で書かれている。おふれの石室では、点字で記された文章の指示に従うことで111番道路の「さばくいせき」(以降、「砂漠遺跡」と表記)、105番水道の「こじまのよこあな」(以降、「小島の横穴」と表記)、121番道路の「こだいづか」(以降、「古代塚」と表記)の入り口を開けることができる。その後、それぞれの遺跡に記された指示に従うことでいわやまポケモンレジロック(砂漠遺跡)、ひょうざんポケモンレジアイス(小島の横穴)、くろがねポケモンレジスチル(古代塚)と遭遇できるようになる。点字文明はナナシマにも存在していたようで、「1のしま」(以降、「1の島」と表記)の「ともしびやま」(以降、「ともしび山」と表記)、「6のしま」(以降、「6の島」と表記)の「てんのあな」(以降、「点の穴」と表記)に点字で書かれた文章が存在する。しかし、アンノーン文明と同様に、ホウエン地方とナナシマの点字文明に関連があるかについては不明である。さらに不可解なのはおふれの石室が134番水道から秘伝技 “ダイビング” を使わなければ到達できない洞窟であることで、なぜ海の底に存在する洞窟に文明が存在したのかも分かっていない。

 このように、ポケモン世界では同一の文字文化を持つ文明の遺跡が複数の地方から見つかっている。これらの遺跡が、同一の文化を持つにも関わらずそれぞれ独立に繁栄したとは考えづらく、一箇所から伝播していったという見解を持つ方が合理的である。本考察では、まず古代文明の伝播について検証を行い、その結果導き出される仮説についてを記述する。 

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1. カントー地方・ナナシマ、ジョウト地方ホウエン地方シンオウ地方のマップ

A. ジョウト地方のマップ。図示したように、マップの中央付近にアルフの遺跡が位置する。また、表示されていないが、主人公がシント遺跡(後述)にいる場合は矢印で示した付近に表示される。

 B. カントー地方・ナナシマのマップ。1から7までの7つの島から構成される。アスカナ遺跡は 7の島の南側の海上に存在する。また、6の島の南側にはデオキシスが現れる「たんじょうのしま (誕生の島)」が存在するほか、表示されていないが4の島と5の島の間(矢印で示した付近)にはへその岩が存在する。

C. シンオウ地方のマップ。地方の陸地を縦断するようにテンガン山がそびえ、その頂上にやりのはしら(後述)が存在する。ズイの遺跡はズイタウンの中に存在し、キッサキ神殿(後述)はシンオウ地方最北端の町であるキッサキシティの中に存在する。

D. ホウエン地方のマップ。134番水道から”ダイビング”した先におふれの石室が存在するほか、 レジの名を持つポケモンが封印されている遺跡が図示したように点在している。海上の町であるキナギタウンには、レジの名を持つポケモンの存在をほのめかす話をする NPCが登場する(後述)。

 

【ゲーム本編からの情報と考察】

アンノーン文明の古代人はホウオウの存在を知っていた

 にじいろポケモン・ホウオウは、金及びハートゴールドのパッケージを飾る伝説のポケモンである。ジョウト地方・エンジュシティにはホウオウの伝説が残されており、飛来したホウオウが身を休めるための場所である「スズのとう」(以降、「スズの塔」と表記)が存在する。アルフの遺跡のパズルにはホウオウのパズルが存在するほか、ホウオウが手持ちにいることで開く部屋が存在する。これらは、アルフの遺跡の古代人はホウオウの存在を知っていたということを意味している。また、ホウオウがトリガーとなって開く部屋の存在は、アルフの遺跡の古代人がホウオウと交流を持っていた可能性を示唆するものでもある。

 また、ファイアレッドリーフグリーンでは、ホウオウは配信アイテムであるしんぴのチケットを使用することで行ける「へそのいわ」(以降、「へその岩」と表記)の最上階に出現する。へその岩はナナシマの中心に位置する島である。アスカナ遺跡からは距離があるものの、島の位置関係からアスカナ遺跡の古代人がホウオウの存在を知る可能性が十分にあったと考えられる。

 以上より、アルフの遺跡の古代人とアスカナ遺跡の古代人には、アンノーン以外にも「ホウオウを認識していた」という共通点が存在する可能性が示唆される。

 

アルフの遺跡はアスカナ遺跡よりも文化レベルが高い

 次に、アルフの遺跡とアスカナ遺跡の古代人の間に接点があったかについて検証する。アルフの遺跡とアスカナ遺跡の古代人にはアンノーン以外にもホウオウの認識という共通点が存在するという可能性があることは前述の通りだが、ここではもう1つの共通点に着目する。アルフの遺跡には4つのパズルが存在し、アスカナ遺跡には秘伝技 “かいりき” を用いたパズルが存在する(厳密には、このパズルは「しっぽうけいこく」内のアスカナの鍵という洞窟に存在する)。これらのパズルはどちらも、アンノーンを出現させることに関係している。これらのパズルからアルフの遺跡とアスカナ遺跡の文化レベルを比較してみる。パズルに壁画(ポケモンの絵)が描かれているという点、パズルのピースを秘伝技なしで動かせる(アスカナの鍵のパズルと比べて小規模である)点、パズルが小部屋に存在する点から、アルフの遺跡のパズルの方が文化的に高度なように思われる。さらに、アスカナ遺跡にはアルフの遺跡と異なりアンノーン文字を用いた文章が存在しない。以上の点から、文化レベルは 「アルフ > アスカナ」 であると考えられる。

 

アンノーン文明はナナシマからジョウトへ伝播した可能性がある

 前述したように、ある同一の文化を持つ複数の文明がそれぞれ独立に繁栄するとは考えづらい。前項ではアルフの遺跡の文化レベルはアスカナ遺跡よりも高いとしたが、それが正しいとするならアスカナ遺跡はアルフの遺跡よりも古い時代の遺跡であると考えられる。このことから、アンノーン文明はアスカナ遺跡(ナナシマ)で最初に繁栄し、その後アルフの遺跡(ジョウト)へ伝播した可能性が考えられる。海に囲まれたナナシマでは、人間は食料や新天地を求めて移動を行うことが十分に考えられる。アスカナのアンノーン文明が繁栄して人口が増えたと仮定した場合、古代人がカントー地方等と比べて陸の面積が小さいナナシマに定住し続けるとは考えにくく、新天地を求めて移住や侵略を始めることが予想される。本考察では、その行き先がジョウト地方であるという仮説を立てる。ジョウト地方には、32番道路と33番道路、及びアルフの遺跡をつなぐ「つながりのどうくつ」(以降、「つながりの洞窟」と表記)という洞窟が存在する。ジョウト地方のマップを参照すると、つながりの洞窟の東側は海 (図2) になっている。さらに、つながりの洞窟はアルフの遺跡に直結しているため、アスカナ遺跡から海を渡ってジョウトに渡来したアンノーン文明の古代人は、つながりの洞窟を通ってアルフの遺跡に至ったと考えられる (図2)。

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2. アンノーン文明のジョウトへの渡来経路(予想)

ナナシマ(アスカナ遺跡)からジョウト地方(アルフの遺跡)への、アンノーン文明の渡来経路を予想した図。

 

アルフの遺跡における絵画の発達とアスカナの痕跡

 アルフの遺跡にはえかきポケモンドーブルが生息することから、アンノーン文明で絵を描く文化が発達したのはアンノーン文明の古代人がドーブルと接触したことに起因する可能性が考えられる。また、ホウオウ以外のパズルに描かれているポケモンはこうらポケモン・カブト、うずまきポケモンオムナイト、かせきポケモンプテラである。このうちカブトとオムナイトは海に生息していたポケモンであり、内陸に存在するアルフの遺跡でこれらのポケモンと馴染みがあった可能性は低い。しかし、海に囲まれたアスカナ遺跡では馴染みがあった可能性が高く、アルフの遺跡に遺された壁画のパズルにはアスカナ時代に関わりがあったポケモンが描かれたとも考えられる。ハートゴールドソウルシルバーではアルフの遺跡で “いわくだき” をするとカブトの化石であるこうらのかせき(ハートゴールドのみ)、オムナイトの化石であるかいのかせき(ソウルシルバーのみ)が見つかることがあるが、これらはつながりの洞窟の地下2階の水域から古代人によって捕獲されたカブト・オムナイトの化石であると推測できる。現代のジョウト地方では、毎週金曜日になるとつながりの洞窟地下2階の水域にのりものポケモンラプラスが出現することから、この水域が海と繋がっていると言われている点に一致する。しかし、つながりの洞窟から地下に降りて漁をすることが効率的とは考え難く、そこまで頻繁に行われた漁ではないと考えられる。

 

アンノーン文明の北上とシンオウ地方

  クリスタル、ハートゴールドソウルシルバーでは、アルフの遺跡の古代人が旅に出たことが明らかとなる (文1)。旅に出た古代人はどこへ向かったのだろうか。その詳細を明らかにするための根拠は第7世代(ウルトラサン・ウルトラムーン)現在見つかっていないが、旅に出た古代人の少なくとも一部はアルフの遺跡から北上していったと考えられる。ハートゴールドソウルシルバーのみで行くことができる「シントいせき」(以降、「シント遺跡」と表記する)では、遺跡にいるNPCトレーナーの「やまおとこ」からジョウトの文化とシンオウの文化が交わったことでアルフの遺跡と「やりのはしら(シンオウ地方の「テンガンざん」(以降、「テンガン山」と表記)の頂上に作られた古代遺跡)」の特徴を兼ね備えた建造物が作られたという話を聞ける。このことから、アルフの遺跡の古代人は北上したと分かる。

 

      わたしたち にんげん かれらと ともに あゆむ こと ひつよう

           かれらの ために わたしたち たびだつ

 

1. アンノーン文字で書かれたアルフの遺跡の文章(訳, 左下の小部屋)

アルフの遺跡(左下の小部屋)にアンノーン文字で書かれた文章の現代語訳(日本語)。

 

アルフの遺跡の古代人とシンオウ(やりのはしら)の古代人の交流が双方に与えた影響

  シント遺跡ではさらに、シンオウ地方ポケモンリーグチャンピオンであるシロナが登場する。シロナによると、シント遺跡の「みつぶたい」はシンオウ地方の神話で世界の創造主とされているそうぞうポケモンアルセウスを祀るためのステージで、アルセウスの力を音楽と踊りで表現するためのものだという。また、この表現技法を受け継ぐ人々がジョウト地方にはいるという。ジョウト地方における「踊り」はエンジュシティの まいこはん(以降、「舞妓はん」と表記)のものが有名であり、舞妓はん達による舞踊(このときゲーム中で使用される曲の名前を借り、「縁寿の舞(えんじゅのまい)」と呼称する)は伝説のポケモンを呼ぶためのものである(ハートゴールドではスズの塔でホウオウを光臨させるため、ソウルシルバーではうずまきじま(41番水道に存在する4つの島)でルギアを出現させるため;リメイク後のみ)。このことから、「縁寿の舞」はシンオウ地方の古代人(以降、「やりのはしら文明の古代人」とする)から伝えられた「踊り」を起源とする可能性が示唆される。

 また、シンオウ地方のズイの遺跡にはアンノーン文字で書かれた文章が存在する (文2)。その記述からは「友好」や「交流」といった内容を読み取ることができるが、この記述はアルフの遺跡の古代人と交流したやりのはしら文明の古代人による記述なのかもしれない。

 

             FRIEND すべて いのち

         べつ いのち であい なにか うみだす

 

2. アンノーン文字で書かれたズイの遺跡の文章

ズイの遺跡最奥にアンノーン文字で書かれた文章の現代語訳(日本語と英語)。

 

点字文明の古代人によって「とじこめ」られた「1匹の」ポケモン

 ナナシマにアンノーン文明が存在したことは前述の通りだが、ナナシマにはもう1つ古代文明が存在した。1の島のともしび山、及び6の島の遺跡である点の穴では点字で書かれた文章が見つかることから、ナナシマには点字を使用する文明(点字文明)が存在したことが明らかとなる (文3 A, B)。

 ポケモン世界における点字文明の存在は、ファイアレッドリーフグリーンの1つ前の作品であるルビー・サファイアで初めて明らかとなった。ホウエン地方に遺された点字文明の遺跡(おふれの石室、砂漠遺跡、小島の横穴、古代塚)からは、点字文明の古代人と「レジ」の名を持つポケモンレジロックレジアイスレジスチル)の関係が示唆されていた。おふれの石室には文章 (文3 C) が遺されていたが、その文中には不可解な点が存在する。それは「だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた」という文中にある。ホウエン地方にはレジロックレジアイスレジスチルの3匹のポケモンが「とじこめ」られていたが、「あの ぽけもん」という表現は3匹のポケモンを示すというよりは1匹のポケモンを示す表現のように思われる。複数のポケモンを示す表現をするならば、「あの ぽけもん『たち』」と記述するのが自然である。この点については、おふれの石室の文章の英語版 (文3 D, E) から答えを得ることができる。英語版における「だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた」に該当する文章は、ルビー・サファイア、エメラルド(リメイク前)では ”BUT, WE SEALED THE POKEMON AWAY.” と英訳され、オメガルビーアルファサファイア(リメイク後)では “YET, WE SEALED THAT POKEMON AWAY, ALONE IN THE DARK.” と英訳されている。これらの文で「あの ぽけもん」に該当する箇所はそれぞれ “THE POKEMON” と “THAT POKEMON” である。さらに最後の文である「とびらを あけよ そこに えいえんの ぽけもんが いる」は、リメイク前は “OPEN A DOOR. AN ETERNAL POKEMON WAITS.” と英訳され、リメイク後は “OPEN THE DOOR. FOR BEYOND IT THE ETERNAL POKEMON WAITS.” と英訳されている。最後の文の英訳には着目すべき箇所が2箇所存在し、1箇所目はリメイク前の英文の “AN ETERNAL POKEMON” である。ここでは “AN” という冠詞が使用されていることから、直後の “ETERNAL POKEMON” は単数形、つまり1匹のポケモンを示しているということが分かる。2箇所目は “WAITS”(リメイク前後共通)である。“WAITS” は動詞 “wait” に三人称のsが付加されたもの(三人称単数現在形)であることが文脈から分かるため、この文の主語である “AN ETERNAL POKEMON”(リメイク前)及び “THE ETERNAL POKEMON”(リメイク後)は共に単数形であると分かる。以上のことから、点字文明の古代人が「とじこめた」ポケモンは1匹であることが明らかとなる。これは、おふれの石室で言及されているポケモンレジロックレジアイスレジスチルの3匹のことではないということを示唆している。

 

    A

        ものごと にわ いみが ある そんざい にわ いみが ある

       いきる ことにわ いみが ある ゆめを もて ちからを つかえ

 

    B

       ひかり かがやく ふたつの いし ひとつわ あかく ひとつわ あおく

     ふたつの ちからで かこが つながり ふたりの ちからで ひかり かがやく

             そして あたらしい せかいが みえてくる

        つぎの せかいを つくるのわ あなただ もー はじまっている

 

    C

      わたしたちわ この あなで くらし せいかつ そして いきて きた
              すべてわ ぽけもんの おかげだ

      だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた こわかったのだ

            ゆーき ある ものよ きぼーに みちた ものよ

         とびらを あけよ そこに えいえんの ぽけもんが いる

 

    D

             IN THIS CAVE WE HAVE LIVED.

            WE OWE ALL TO THE POKEMON.

       BUT, WE SEALED THE POKEMON AWAY. WE FEARED IT.

         THOSE WITH COURAGE, THOSE WITH HOPE.

         OPEN A DOOR. AN ETERNAL POKEMON WAITS.

 

    E

          LONG DID WE LIVE HERE IN THIS CAVE.

     ALL THANKS TO THE POWERFUL POKEMON LIVING ALONGSIDE US.

  YET, WE SEALED THAT POKEMON AWAY, ALONE IN THE DARK.

                WE FEARED IT.

      IF YOU HAVE THE COURAGE, IF YOU STILL HOLD TO HOPE,

    OPEN THE DOOR. FOR BEYOND IT THE ETERNAL POKEMON WAITS.

 

3. 点字文明の古代人が遺跡に遺した文章(訳)

A. 1の島(ナナシマ)、ともしび山に遺された文章の現代語訳(日本語)。

B. 6の島(ナナシマ)、点の穴に遺された文章の現代語訳(日本語)。

C. おふれの石室(ホウエン)に遺された文章の現代語訳(日本語)。

C. おふれの石室(ホウエン)に遺された文章の現代語訳(英語, ルビー・サファイア、エメラルド)。

E. おふれの石室(ホウエン)に遺された文章の現代語訳(英語, オメガルビーアルファサファイア)。

 

4種目の「レジ」;レジギガス

  ダイヤモンド・パールが発売されて第4世代に移ると、「レジ」の名を持つ新たなポケモンが登場した。それがきょだいポケモンレジギガスである。ポケモン図鑑の説明によれば、レジギガスには「レジロックレジアイスレジスチルの3匹を作った」という伝説や「縄で縛った大陸を引っ張って動かした」という伝説が存在するという (文4 A-C)。実際、第3世代で登場した3匹のレジとは関係があり、シンオウ地方においてレジギガスと戦闘を行うためには「キッサキしんでん」(以降、「キッサキ神殿」と表記)の最奥部に佇むレジギガスのところへレジロックレジアイスレジスチル(3匹のレジ)を連れて行かなければならない。3匹のレジを連れて行かなければならない点はその後のシリーズでも引き継がれている。3匹のレジと関連が深いことからも、レジギガス点字文明にも何らかの関係があることが疑われるが、その詳細については不明である。

 

   A

           なわで しばった たいりくを ひっぱって

        うごかしたという でんせつが のこされている。

   B

         とくしゅな ひょうざんや がんせき マグマから

       じぶんの すがたに にた ポケモン つくったと いわれる。

   C

    ねんど こおり マグマを つかって レジロック レジアイス レジスチル

            3ひきを つくったと いわれている。

 

4. ポケモン図鑑に記載されているレジギガスの説明文

A. ダイヤモンド、パール、Y、アルファサファイアでの図鑑説明。

B.プラチナ、ブラック、ホワイト、ブラック2、ホワイト2、X、オメガルビーでの図鑑説明。

C. ハートゴールドソウルシルバーでの図鑑説明。

 

おふれの石室で言及されたポケモンレジギガスである可能性がある

 では、おふれの石室の文章が示す「ぽけもん」とは、一体何であるのか。前述した通り、文章が示すのは1匹のポケモンである。

 おふれの石室の文に示された指示の1つ目は、ポケモンの技 “あなをほる” を使用することである (文5 A)。これによって、おふれの石室の奥へと進めるようになる。2つ目の指示は、手持ちの最初をちょうじゅポケモンジーランス、最後をうきくじらポケモン・ホエルオーにすることであり、これによって砂漠遺跡、小島の横穴、古代塚の扉が開く(エメラルドではジーランスとホエルオーの順番が逆になっている)(文5 B, C)。レジロックレジアイスレジスチルのいるところへ辿り着くためには、さらにそれぞれの遺跡に示されている指示に従う必要がある (文5 D-I)。そして、レジロックレジアイスレジスチルの3匹が揃うと、初めてレジギガスと戦えるようになる。ここから分かることは、点字で書かれた文に従って遺跡の扉を開けることで遭遇できる3匹を揃えることで、レジギガスにかけられた何らかの封印が解かれるということである。この点から、おふれの石室の文章で言及されたポケモンレジギガスである可能性が示唆される。また、オメガルビーアルファサファイアにおける「すべてわ ぽけもんの おかげだ」の英訳は “ALL THANKS TO THE POWERFUL POKEMON LIVING ALONGSIDE US.”となっており、文章で言及されているポケモンが ”POWERFUL” であることが明らかとなっている (文3 E)。縄で縛った大陸を引っ張って動かしたという伝説 (文4 A) からもレジギガスが ”POWERFUL” であることは明白であり、この点もおふれの石室で言及されたポケモンレジギガスである可能性を示唆する根拠の1つだろう。

 

          A

             ここで あなを ほれ 

   B

      はじめに じーらんす おわりに ほえるおー そして すべてが ひらかれる

 

   C

     さいしょに ほえるおー さいごに じーらんす そして すべてが ひらかれる

 

       D

          みぎ みぎ した した そこで かいりき つかえ

 

       E

         ひだり ひだり した した そこで いわくだきを つかえ

 

         F

           このまま うごかず ふたつの ときを まて

 

         G

           かべから はなれず ここを ひとまわりせよ

 

    H

      あらたなる ときと きぼーと あいを もち まんなかで そらを めざせ

 

     I

       われわれの いしを つぎし ものよ まんなかで ひかりかがやけ

 

5. ホウエン地方に遺る点字で書かれた文章(日本語訳)

A. おふれの石室の奥に進むための指示。

B. おふれの石室(奥の部屋)に書かれた、砂漠遺跡、小島の横穴、古代塚の入り口を開けるための指示(ルビー・サファイアオメガルビーアルファサファイア)。

C. おふれの石室(奥の部屋)に書かれた、砂漠遺跡、小島の横穴、古代塚の入り口を開けるための指示(エメラルド)。

D. 砂漠遺跡に書かれた、レジロックがいる部屋を開けるための指示(ルビー・サファイアオメガルビーアルファサファイア)。

E. 砂漠遺跡に書かれた、レジロックがいる部屋を開けるための指示(エメラルド)。

F. 小島の横穴に書かれた、レジアイスがいる部屋を開けるための指示(ルビー・サファイアオメガルビー・ アルファサファイア)。

G. 小島の横穴に書かれた、レジアイスがいる部屋を開けるための指示(エメラルド)。

H. 古代塚に書かれた、レジスチルがいる部屋を開けるための指示(ルビー・サファイアオメガルビーアルファサファイア)。

I. 古代塚に書かれた、レジスチルがいる部屋を開けるための指示(エメラルド)。

 

ナナシマ誕生の言い伝えと創造神

  ここで一度、話をナナシマに戻す。ナナシマの1つである7の島では、NPCの老婆から「ナナシマ」という名称の由来を聞くことができる。その話によれば、「ナナシマ」とは「7日で出来た島」という言い伝えから名付けられた名前であるという (図3)。老婆からは名前の由来しか聞くことができないが、このような言い伝えがあるという点からナナシマには神話のような物語が存在することが推測される。

 ここで一旦、ポケモンの話題から離れる。我々の世界においても「7日で出来た」という言い伝えは存在する。それは『天地創造』と呼ばれる、ユダヤ教及びキリスト教聖典である『創世記』に記された神による天地の創造である。

 話をポケモンに戻す。『天地創造』の知見より、ナナシマ誕生の言い伝えにも島を創造した、神にも等しい力を持つ者の存在が示唆される。ポケモン世界においてそのような力を持つ者として最初に導き出されるのが、そうぞうポケモンアルセウスである。

                 f:id:lkm_mm_iga_pkmn:20180331231923j:plain             3. 「ナナシマ」の名前の由来

             7の島にいる、NPCの老婆の証言。

 

シンオウ地方に伝わるアルセウスと巨人の戦い

 ダイヤモンド・パールから登場した道具である「プレート」は全部で17種類(第5世代までは16種類)存在し、ポケモンに持たせることで特定のタイプ(プレート毎に決まっている)の技の威力を上げることができる。ダイヤモンド・パール、プラチナでは、プレートを手に入れたときのみプレートに書かれた神話を読むことができる (文6 A-H)。その中には「プレート にぎりしもの さまざまに へんげし ちからふるう」、「プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから」という文が存在する。アルセウスは「マルチタイプ」という特性を持ち、プレートによって姿とタイプが変わる。よって、「プレート にぎりしもの」はアルセウスのことだと考えられる。では、「たおした きょじんたち」とは何だろうか。プレートに書かれた話が本当だとすると、アルセウスはかつて巨人達と戦いを繰り広げ、倒していったことになる。倒した巨人の力をプレートに与えたということから、プレートが持つ効果(特定のタイプの技の威力を上げる)は元々巨人が持っていた力であると考えられる。この点から、巨人は18種類のタイプのいずれかに該当するタイプ(あるいはタイプに関係する、特性等の能力)を持っていたことが予想される。しかし、プレートは全タイプのものが存在するというわけではなく、唯一ノーマルタイプのプレートだけが存在しない。これらの点から「巨人」の正体を推測すると、レジギガス(ノーマルタイプ)を候補として上げることができる。レジギガスアルセウスと戦っていた巨人の1匹と仮定すると、少なくともシンオウ神話の世界にはレジギガス以外にも「きょだいポケモン」と呼ぶに相応しいポケモンが存在した可能性が示唆される。

 

      A

        うちゅう うまれるまえ そのもの ひとり こきゅうする

 

     B

       そのもの じかん くうかんの 2ひき ぶんしんとして よに はなつ

 

   C

     そのもの じかん くうかんを つなぐ 3ひきの ポケモンをも うみだす

 

       D

         うちゅう うまれしとき その かけら プレートとする

 

     E

       うまれてくる ポケモン プレートの ちから わけあたえられる

 

    F

      2ひきに もの 3びきに こころ いのり うませ せかい かたちづくる

 

     G

       プレート にぎりしもの さまざまに へんげし ちからふるう

 

     H

       プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから

 

6. プレートに書かれた、アルセウスの神話と思われる記述

A-H. ダイヤモンド・パール、プラチナにてプレートを旅路で入手した際に読めるアルセウスの神話と思われる記述。

 

アルセウスと巨人の戦いがナナシマで行われた可能性

 さて、前項までで「点字文明の古代人が封印したポケモンレジギガスである可能性」、「ナナシマとアルセウス」、「アルセウスと巨人の戦い」について記述してきた。ここからは、これらの3点を結びつける。

 まずおふれの石室の記述より、点字文明の古代人はレジギガスと共存していたと仮定する。アルセウスと巨人の戦いについては前述の通りだが、点字文明のレジギガスアルセウスと戦っていたとするならば、その戦いの場所はナナシマであるという推測ができる。ナナシマには点字文明が存在し、かつナナシマ誕生にアルセウスが関与している可能性が考えられるためである。

 

アルセウスと巨人(レジギガス)の対立要因

  ところで、アルセウスと巨人は何故戦う必要があったのだろうか。レジギガスアルセウスと対立する側に属していたのだとすれば、点字文明の古代人もアルセウスと対立していた可能性が高い。この点に関しては、点の穴に着目することで考察する。点の穴の最奥には「サファイア」が存在するが、この部屋には点字で書かれた文章が存在する。その記述には、「つぎの せかいを つくるのわ あなただ」という一文が存在する (文3 B)。「せかいを つくる」という表現はアルセウスによる天地創造を連想させることから、点字文明の古代人は「つぎの せかいを つく」ろうとした結果アルセウスの怒りを買ったのかもしれない。

 あるいは、レジギガスレジロックレジアイスレジスチルの3匹を作り出せるという点が問題だった可能性も考えられる。前述のように、ポケモン図鑑にはレジギガスレジロックレジアイスレジスチルの3匹を創り出したという伝説が記載されている (文4 B, C)。アルセウス以外が生命を創造してしまうということは、神の禁忌を犯す所業だったのかもしれない。点字文明の古代人の目的は、レジギガスの力を使って巨人の眷属たりうる巨人を創り出し、その力で「せかいをつくる」ことだったのかもしれない。

 

戦いの結果と点字文明のその後

 アルセウスと巨人達の対立の原因は確定できないが、プレートの記述から戦いの結末はアルセウスの勝利ということが伺える (文6 H)。多くの巨人がアルセウスに倒されてしまったものの、ノーマルタイプの巨人であるレジギガスは生き残った。しかし、残った巨人や古代人も、いずれはアルセウスに滅ぼされてしまうことは想像に難くない。そのような状況で残った巨人と古代人の取った選択は、逃走だったのではないだろうか。アルセウスの攻撃から逃れるためにナナシマを離れるのである。ここで、レジギガスの図鑑説明に着目する。図鑑説明より、レジギガスには「縄で縛った大陸を引っ張って動かした」という伝説が存在することが明らかとなる (文4 A)。点字文明の古代人は、かつてナナシマに存在した大陸ごと自分達をレジギガスに引っ張らせることで逃走を図ったのではないだろうか。本考察では、この結果行き着いたのがホウエン地方であるという仮説を提唱する。これが、ナナシマとホウエンの両方に点字文明が存在する理由ではないだろうか。

 おふれの石室は134番水道から秘伝技 “ダイビング” を使わなければ到達できない海底の洞窟である。さらに、134番水道は激しい海流が存在する海域である (図4)。点字文明の古代人がそのような海域に辿り着けたのはレジギガスの力を借りたためだと考えられる。おふれの石室が海底に存在するのもレジギガスの力を借りたためかどうかは定かではないが、少なくとも、海底に石室が存在する理由はアルセウスの追撃を避けるためであったという推測はできる。

 しかし点字文明の古代人は、「すべては ぽけもんの おかげ」としながらも、「あの ぽけもんを とじこめた」と記述している (文3 C, D, E)。その理由として「(『あの ぽけもん』が)こわかったのだ」(英語版:” WE FEARED IT.”より括弧内のことが分かる)ということを記しているが、これは「『レジロックレジアイスレジスチルを創り出せる能力を持つためにアルセウスから攻撃されてしまうため、あのポケモンレジギガス)が』怖かったのだ」という意味かもしれない。そうでもなければ、自分達の生活を支えているポケモンをわざわざ閉じ込める必要はないだろう。

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   4. 134番水道のダイビングポイント

   ホウエン地方・134番水道の海流の中に存在する”ダイビング”可能なポイント。

   海中に潜って道なりに進んだ先で浮上すると、おふれの石室に到達する。

 

それぞれの文明の古代人達の子孫

 ここまでアンノーン文明と点字文明に関する考察を行ってきたが、最後に、これらの文明の古代人達がその後どうなったかについて考察する。まずはアンノーン文明の古代人だが、前述したように彼らはやりのはしら文明の古代人から「踊り」を学び、それを「縁寿の舞」に発展させていった可能性が高い。つまり、アルフの遺跡の古代人達はエンジュシティの人々の祖先である可能性が示唆される。

 次に点字文明の古代人だが、彼らはレジギガスを封印した後に海上での生活を始めたと考えられる。そして、現在のキナギタウンの住民達の祖先となった可能性がある。海上の町であるキナギタウンでは、ポケモンセンターにいるNPCの老人からキナギタウンの人々の祖先が船の上で生活し、何かを探し求めていたという話を聞くことができる (図5 A)。また、ある民家の住人(NPC)からはレジロックレジアイスレジスチルと思われるポケモンについてを (図5 B)、そして「6つの点が3つの扉を開ける」という話を聞くことができる (図5 C)。この話からは、海底のおふれの石室から海上へ出た点字文明の古代人の子孫達が、再びおふれの石室に戻ってレジギガスの封印を解くために船で石室を探していたということが推測できる。「6つの点が3つの扉を開ける」という言葉が点字で記された方法で遺跡の扉を開けるということを意味しているのは言うまでもないが、この発言をするNPCの少女がその意味を理解していないことを考えると、海の上で生活を続けてきた本当の理由はとうの昔に失われてしまっていると推測できる (図5 C)。

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5. キナギタウンの住人達の証言

A. ポケモンセンターの、NPCの老人から聞けるキナギの住人の祖先に関する証言。

B. ポケモンセンターの右上に位置する民家の住人の、レジロックレジアイスレジスチルの存在を示唆する証言。

C. ポケモンセンターの右上に位置する民家の住人の、レジロックレジアイスレジスチルの存在を示唆する証言。

 

【さらなる疑問と残された問題点及び可能性】

  今回、ゲーム内の断片的な情報からポケモン世界における古代文明について考察し、アンノーン文明と点字文明はナナシマから別の地方へと伝播していったという仮説を提唱した。しかし、当然ながら今回記述した内容は想像によるところが多く、新たな情報が明らかにならない限り確実な回答とすることはできない。以降は、本考察に関して残された疑問点及び問題点、それらに対して考えられる可能性について言及していく。

 

アンノーン文明におけるホウオウについて

 前述の通り、縁寿の舞はやりのはしら文明の古代人から伝わった表現技法を取り入れて作られた舞踊である可能性が示唆される。このことから、やりのはしら文明の古代人と交流を持ったアルフの遺跡の古代人はエンジュシティと大きな関係があると考えられる。エンジュシティの舞妓はんや僧侶(NPCトレーナー「ぼうず」)の中には、アルフの遺跡の古代人を祖先に持つ人々がいることも予想される。エンジュシティにおけるホウオウの信仰は、アンノーン文明におけるホウオウの信仰が発展した形なのかもしれない。そうだとすれば、ハートゴールドソウルシルバーでスズの塔へ入った際に見られるホウオウの像 (図6) も、「わたしたち そとの ポケモン ぞう つくる」とアルフの遺跡に記されている技術と文化を受け継いで作られたものだと考えられるだろう。

 本考察ではアスカナ遺跡の古代人とアルフの遺跡の古代人が共にホウオウを認識していたという仮説を立てたが、アスカナ遺跡の古代人に関してはその根拠が一切存在しない。また、へその岩にはルギアも現れるが、アルフの遺跡の壁画にルギアは描かれていない。アスカナ遺跡の古代人がへその岩の存在を知り、かつそこに現れるホウオウの存在を知っていたのであれば、同じくへその岩に現れるルギアの存在を知らなかったということには疑問が残る。ホウオウのみが信仰の対象となり、ルギアは対象とならなかったのだとしても、その理由を明らかにするためには第7世代現在では情報が足りない状況である。ただし、ルギアは通常海の底に身を潜めているため、アンノーン文明の古代人がルギアの存在を知り得なかった可能性も十分考えられる(ホウオウは空を飛んでいるため、地上からの視認が可能であると思われる)。このような疑問が残る現状ではあるが、エンジュシティにかつて「カネのとう(以降、「カネの塔」と表記)」というルギアを祀るための、スズの塔と対を成す塔が存在した点は非常に興味深い。このことは、スズの塔が建立された時代にルギアを信仰する文化がエンジュシティに存在したことを意味している。この塔は150年前に火事で消失し、現在は「やけたとう(以降、「焼けた塔」と表記)」と呼ばれる廃墟と化してしまった。火事の原因は不明であるが、この火事によって人々の信仰や多くの情報は失われてしまったものと考えられる。もしカネの塔にルギアの像が存在していたのであれば、それはアンノーン文明の文化を継承して作られたものであった可能性もあるだろう。ただし、アルフの遺跡とエンジュシティは距離的に近い位置にあるものの、アルフの遺跡の古代人が現在のエンジュシティに当たる場所(ホウオウが飛来していたと考えられる場所)を活動範囲としていたかは定かではない。さらに言えば、この遺跡が作られたとされる約1500年前にホウオウが現在のエンジュシティに当たる場所に飛来していたかすら不明である。少なくとも、アルフの遺跡の文明(アンノーン文明)との文化レベルの明らかな違いから、スズの塔はまだ建立されていなかった可能性が高い。スズの塔の建立は、縁寿の舞が現代に伝わる形になったのと同じ時代かもしれない。

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    図6. スズの塔に置かれるホウオウの像

    スズの塔入り口に配置さていれる、ホウオウをモチーフにしたと思われる像。

 

            わたしたち そとの ポケモン ぞう つくる

 

7. アンノーン文字で書かれたアルフの遺跡の文章(訳, 右下の小部屋)

アルフの遺跡(右下の小部屋)にアンノーン文字で書かれた文章の現代語訳(日本語)。

 

アルフの遺跡の壁画に描かれたポケモンはほとんどが絶滅種である

  アルフの遺跡の壁画に描かれているホウオウ以外のポケモンは、カブト、オムナイトプテラである。こららのポケモンが壁画に描かれているということは、アンノーン文明の古代人がこれらのポケモンを認識していたということを意味する。つまり、現代から約1500年前の世界にはカブト、オムナイトプテラ(及びカブトの進化系であるこうらポケモンカブトプスオムナイトの進化系であるうずまきポケモンオムスター)が生息していた可能性があるということになる。しかし、これら3種は現代においては絶滅種とされており(ただし、ポケモン図鑑の説明によれば、カブトについてはごく一部の地域に生き残りがいることが明らかとなってきた)、化石を用いた復元を行わなければ入手が不可能である (文8 A-C)。これらのポケモンがいつ絶滅したのかは定かではないが、アンノーン文明の新たな情報が明らかになればこれらのポケモンについて、これらのポケモンの新たな情報が明らかになればアンノーン文明についての新たな知見を得ることができるかもしれない。特に、プテラついては興味深い。プテラメガシンカすることが確認されているほか、巨大隕石の落下が絶滅の原因という説が根強いポケモンである (文8 C)。この巨大隕石がいつどこに落ちたかについては明らかとなっていないが、メガシンカの存在を考慮するならば、オメガルビーアルファサファイアのエピソードデルタで語られたレックウザと隕石に関する話が古代のプテラに関係している可能性がある。ジョウト地方では隕石が落ちたという言い伝えは確認されていないが、ナナシマにはDNAポケモンデオキシスが現れる「たんじょうのしま」が存在することから、アスカナ遺跡の古代人(及びその周辺に生息していたプテラ)が隕石の落下による何らかの影響を受けた可能性もある。また、犠牲者が出るほど凶暴なプテラが古代人と絆を結べたかについても議論の余地がある。

 アンノーン文明の古代人がホウオウの力を借りていた場合は違う可能性も出てくる。エンジュシティに伝わる伝説によれば、150年前のカネの塔の火災では「名もなき3匹のポケモン」が命を落としたという。そして、その3匹をホウオウが蘇生させることでいかずちポケモンライコウ、かざんポケモンエンテイ、オーロラポケモンスイクンが誕生したと語られている。アンノーン文明の古代人が、何らかの理由でこの伝説で語られるようなホウオウの力の恩恵を受けることで絶滅したポケモンと共存したという見方もできるだろう。

 

   A

     赤・緑、ファイアレッドY

 

        こだい せいぶつの かせきから さいせいしたポケモン

            かたい カラで みを まもっている。

 

     青、リーフグリーン

 

           とおい むかしに うみだった ちそうから

        かせきが はっけんされ ふっかつ させた ポケモンである。

 

     ピカチュウ

 

            かせきから さいせいした ポケモン

       かいていに かくれては せなかの めで あたりを みていたようだ。

 

     金、ハートゴールド

 

           かいていに みを ひそめたままの すがたで

          かせきに なったものが たまに はっけん される。

 

     銀、ソウルシルバー

 

            おおむかしの ポケモン。ごくまれに

         いきた かせきとして はっけん される ことがある。

 

     クリスタル

 

           3おくねんまえの かいていに みをひそめ

        せなかにも ついていた めを ひからせていた ポケモン

 

     ルビー・サファイア・エメラルド

 

      かせきから ふっかつした ポケモンだが まれに いきつづけている

     カブトを はっけん できる。その すがたは 3おくねん かわっていない。

 

   ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2

 

      3おくねんまえの すなはまで くらしていたと かんがえられている。

              かたい カラが みを まもる。

 

     ウルトラサン

 

        3おくねんまえに さかえた ポケモン。 とある ちほうでは

         いまでも まれに いきた すがたが みられると いう。

 

     ウルトラムーン

 

      ごく いちぶの ちいきを のぞいて ぜつめつ してしまった ポケモン

               かたい カラで みを まもる。

 

   B

      赤・緑、ファイアレッド

 

         おおむかし うみに すんでいた こだい ポケモン

           10ぽんの あしを くねらせて およぐ。

 

     青、リーフグリーン

 

      ぜつめつした ポケモンだが まれに かせきが はっけんされ

          そこから いきかえらせることが できる。

 

     ピカチュウ

 

        10ぽんのあしを うまく くねらせて こだいの うみを

        ただよっていた ポケモン かせきを ふくげんした。

 

     金、ハートゴールド

 

             こだいの かせきから ふっかつ。

      カラのなかに ためた くうきで すいちゅうを うきしずみ していた。

 

     銀、ソウルシルバー

 

           10ぽんの あしを じょうずに くねらせ

        うみを およいでいたという おおむかしの ポケモン

 

     クリスタル

 

      おおむかし かいていを およいで プランクトン などを たべていた。

              ときどき かせきが みつかる。

 

     ルビー・サファイア・エメラルド

 

    おおむかしに ぜつめつしたが にんげんの てで かせきから ふっかつさせた

      ポケモン ひとつ。てきに おそわれると かたい カラに かくれる。

 

   ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2

 

     げんだいの すぐれた かがくりょくで かせきから ふっかつした ポケモン

              こだいの うみを およいでいた。

 

     ウルトラサン

 

      こだいのうみに いきていた ポケモン アーケオス エサだったようで

             はがたのついた かせきが みつかる。

 

     ウルトラムーン

 

            こだいの かせきから ふくげんされた。

       おおむかし うみだった ばしょから かいのカセキが はっくつ される。

 

   C

     赤・緑、ファイアレッドX

 

      こはくに のこされた きょうりゅうの いでんしから ふっかつさせた。

             たかいこえで なきながら とぶ。

 

     青、リーフグリーン

 

      のこぎりのような かたちの キバで あいての のどを かみきってしまう。

             きょうぼうな こだいの ポケモンだ。

 

     ピカチュウ

 

         コハクから とりだされた いでんしを けんきゅうして

         ふっかつさせた おおむかしの どうもうな ポケモン

 

     金、ハートゴールド

 

             おおむかしの どうもうな ポケモン

        つばさを ひろげ そらを すべるように とんでいたらしい。

 

     銀、ソウルシルバーY

 

         かんだかい こえで さけびながら こだいの おおぞらを

           とんでいたと される どうもうな ポケモン

 

     クリスタル

 

            おおむかしの そらを じゆうきままに

        とびまわっていた こわいものしらずの ポケモンだ。

 

     ルビー・サファイア・エメラルド、オメガルビーアルファサファイア

 

      コハクから とりだした いでんしを さいせいして ふっかつした

  きょうりゅう じだいの ポケモン。そらの おうじゃだったと そうぞうされている。

 

   ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2

 

       きょうりゅうじだいの おおぞらを とびまわっていた ポケモン

             のこぎりのような キバを もつ。

 

     サン

 

            きょうりゅう じだいの ポケモン

       のこぎりのような キバで えものを ひきさいて くっていた。

 

     ムーン

 

            こだいの おおぞらの おうじゃ。

       きょだい いんせきの らっかで ぜつめつした せつが ねづよい。

 

     ウルトラサン

 

        こはくに のこされた いでんしから ふくげんさせた。

        よそういじょうに きょうぼうで ぎせいしゃも でた。

 

     ウルトラムーン

 

        こだいの おおぞらを わがものがおで とびまわっていた。

        じめんに おりると あるくのも おそく よわかったらしい。

 

   D 

     サン

 

             からだの いちぶが いしに なった。

     このすがたが しんの プテラであると しゅちょうする がくしゃも いる。

 

     ムーン

 

          メガシンカし いぜんに わを かけて きょうぼうに。

         かじょうな パワーに くるしんでいるためと いわれる。

 

     ウルトラサン

 

             うごくもの すべてに おそいかかる。

      メガシンカ からだに ふたんで とても いらだって いるからだ。

 

8. ポケモン図鑑に記載されているカブト、オムナイトプテラメガプテラの説明

A. カブトの図鑑説明。

B. オムナイトの図鑑説明。

C. プテラの図鑑説明。

D. メガプテラの図鑑説明。

 

アンノーン文字とその他の文字の発達について

  前述した点であるが、アンノーン文字を用いた文章はアスカナ遺跡には存在せず、アルフの遺跡とズイの遺跡で確認できるものである。しかしながら、アンノーン文字及びアンノーン文字を用いた文章がいつ発達したかは未だ明らかとなっていない。本考察でも言及したように、ズイの遺跡に見られるアンノーン文字を用いた文章はアルフの遺跡の古代人によって伝わった文字文化の影響を受けたものである可能性がある。この点を踏まえると、アンノーン文字及びアンノーン文字を用いた文章が発達したのはナナシマからジョウトに古代人が渡来した頃と推測される。

 また、ズイの遺跡の文章には “FRIEND” という単語が使用されている (文2)。これはやりのはしら文明の古代人がアンノーン文字以外の言語・文字文化を持つ人々とも交流があった可能性を示唆するものである。X・Y殿堂入り後の、国際警察のハンサムが登場するエピソードでは英語を話す女性が登場することを考えると、ズイの遺跡が作られた時代にはポケモン世界において現代に伝わる英語が登場していたことが示唆される。26種類のアンノーンの姿がアルファベットに類似していることとポケモン世界の英語の発達にも何らかの関係があるかもしれない。今後何らかの情報が明らかとなれば、イッシュ地方アローラ地方(地方のモデルがアメリカであることから英語圏である可能性がある)との関係も見えてくるかもしれない。

 

各遺跡のアンノーンについて

  クリスタル、ハートゴールドソウルシルバーでは、アルフの遺跡にて「わたしたち にんげん かれらと ともに あゆむ こと ひつよう かれらの ために わたしたち たびだつ」、「かれら いしき さっちする ちからあり そと こばむ」という記述を確認できる (文1, 文9)。この文における「かれら」が何の代名詞であるかは不明であるが、ここではアンノーンのことを示すものと考える。「かれら」は「そと こばむ(外 拒む)」という。つまりアルフの遺跡の古代人はアンノーンのために旅に出たが、アンノーンを連れて行くことはしなかったと考えられる。このことは、アスカナ遺跡、アルフの遺跡、ズイの遺跡に出現するアンノーンはヒトによって各地方に広がったわけではないという可能性を示唆するものである。アンノーン文明の古代人は、アンノーンの代わりに彼らの仲間(アンノーン)を探すために旅に出たのだろうか。アスカナ遺跡とアルフの遺跡ではパズルを解かなければアンノーンと遭遇できないが、これは「そと こばむ」アンノーンへのアンノーン文明の古代人の施しだったのかもしれない。旅に出ることでヒトが遺跡からいなくなってしまうのであれば、他者に見つからないようにアンノーンを隠しておく必要があったということかもしれない。そうであれば、アンノーン文明の古代人の手が加わっていないであろうズイの遺跡にパズルが存在しない理由が説明できる。同じくヒトの手が加わっていないであろうマボロシ洞窟(オメガルビーアルファサファイア)のアンノーンについても同様である。

 

         かれら いしき さっちする ちからあり そと こばむ

 

9. アンノーン文字で書かれたアルフの遺跡の文章(訳, 左上の小部屋)

アルフの遺跡(左上の小部屋)にアンノーン文字で書かれた文章の現代語訳(日本語)。

 

アンノーンと伝説のポケモン幻のポケモンについて

  アンノーン文明とホウオウの関係については前述した通りであるが、ポケモンアンノーンとホウオウは何か関係があるだろうか。ホウオウ自身とアンノーンの関連は現在のところ明らかとなっていないが、ホウオウによって蘇ったポケモンの1匹であるスイクンとは何らかの関係があると考えられる。クリスタルのオープニングにはアンノーンが登場し、スイクンと共に登場する場面も存在する (図7)。スイクンが誕生したとされる150年前にはアンノーン文明が存在しなかったであろうことを考えると、ホウオウはアンノーンスイクンの関係を繋ぐポケモンなのかもしれない。ただし、第7世代現在において明らかとなっている情報のみでは彼らの関係性を予想するのは困難である。

 シント遺跡においては、アンノーンアルセウスに反応する。直後にディアルガパルキアギラティナのいずれかの創生が行われることになるが、アンノーンがこれに重要な役割を果たしているかについても未だ謎のままである。

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7. クリスタルバージョンのオープニングにはスイクンと共にアンノーンが登場する

クリスタルバージョンのオープニングムービーの一場面。

 

レジギガスの封印に関する謎

  前述の通り、レジギガスは生き残ったノーマルタイプの巨人で、唯一アルセウスによって倒されなかった巨人である可能性を持つポケモンである。倒された巨人の力はプレートに与えられたということであるが、プレートの記述には「うちゅう うまれしとき その かけら プレートとする」というものがある (文6 D)。そして、「プレートに あたえた ちから たおした きょじんたちの ちから」という記述 (文6 H) は「元々存在していたプレートに(アルセウスが)倒した巨人の力を与えた」ことを意味している。これらの記述は、ノーマルタイプのプレートに該当するプレートが元々存在しなかった可能性を示唆するものである。また、プレートは複数枚の存在が確認されており、例えばダイヤモンド・パール、プラチナでは旅路で入手できるもの以外にも道具「たんけんセット」で行くことができる「ちかつうろ」で化石掘りをすることでも入手できる。倒された巨人は何匹いたのだろうか。プレートに書かれている話(そもそも、なぜプレートにまつわる話がプレートの裏に記述されているかも大きな謎である)が正しいとするならば、(i) 倒した巨人(同一種)は1匹で、その力を複数枚存在したプレートに与えた可能性、(ii) 倒した巨人(同一種)は複数で、複数枚存在したプレートの1枚ずつに対して倒した巨人1匹の力を与えた可能性、(iii) 倒した巨人(同一種)は1匹でプレートも1枚だったが、プレートに巨人の力を与えた後にプレートが複数枚に分けられた可能性、(iv) 倒した巨人(同一種)は複数でプレートは1枚だったが、複数の巨人(同一種)の力を与えられた後にプレートが複数枚に分けられた可能性、が考えられる。

 本考察では、レジギガスがナナシマからホウエンに大陸を引っ張ったという仮説を立てた。ではその後、レジギガスはどこに封印されたのだろうか。オメガルビーアルファサファイアでは小島の横穴にレジギガスが現れることから、レジギガスは小島の横穴に封印されたものと考えられる。小島の横穴にはレジアイスも封印されているため、オメガルビーアルファサファイアにおけるレジギガスは自身にかけられた封印を解く鍵の1つと同じ場所に封印されていたことになる。オメガルビーアルファサファイアにおいてレジギガスと遭遇するためには「レジロックレジアイスレジスチルの3匹を手持ちに揃える」こと以外にも「レジアイスに氷系のアイテムを持たせる」こと、「レジアイスにニックネームをつける」ことが必要となっている。レジアイスのみにこのような追加条件があるのは、レジアイスレジギガスと同じ場所に封印されたためかもしれない。別のプロテクトをかけなければ、小島の横穴にて3匹が揃った時点でレジギガスの封印が解けてしまうことを考えての措置だろう。

 しかし、レジギガスの封印に関してはまだまだ疑問が残る。点字文明の古代人は、自分達の生活を支えたポケモンを「とじこめた」ことをおふれの石室に記している。この記述は、点字文明の古代人がレジギガス(とレジアイス)を小島の横穴に封印して以降に書かれた記述であると考えるのが自然である。つまり、点字文明の古代人は一度石室から海上に出て小島の横穴に封印を施した後、おふれの石室に戻ったということになる。おふれの石室に行くための海中には、「ここで あがれ」と書かれた点字の文章が存在する (図8)。この記述からは、おふれの石室が最初から海中に存在していたことが示唆される。前述したように、点字文明の古代人の子孫と考えられる、キナギタウンの住人の祖先がおふれの石室を探していたのだとしたら、本来存在したはずの石室への戻り方がどこかで失われてしまったということになる。失われた「戻り方」の1つとして考えられるのが秘伝技であり、特に ”ダイビング” の伝承がどこかで途絶えてしまったためにおふれの石室へ戻れなくなった可能性が考えられる。点の穴の入り口を開けるために ”いあいぎり” が、古代塚のレジスチルに至るために “そらをとぶ”(エメラルドでは “フラッシュ”)が必要であること (文5 H, I) などを踏まえると、かつての点字文明は秘伝技を使いこなせる(ただし、第3世代の秘伝技においては ”たきのぼり” のみ確認されていない)文明だった可能性が示唆される。

 点字文明の古代人は、自分達が施した封印を解く前提だったと考えられる。エメラルドの古代塚には、「われわれの いしを つぎし ものよ まんなかで ひかりかがやけ(英語版:” THOSE WHO INHERIT OUR WILL, SHINE IN THE MIDDLE.”)」という記述がある (文5 I)。この文章が存在する部屋の中央で “フラッシュ” を使えばレジスチルに至ることができるが、この文章に従って「ひかりかがや」いた場合、レジスチルの封印が解けるということになる。「ひかりかがや」くのが「われわれの いしを つぎし もの」であるということは、レジスチルの封印を施した古代人の意志は「レジスチルの封印を解くこと」となるはずである。その先に見えてくる目的は、「レジロックレジアイスレジスチルの3匹を揃えてレジギガスの封印を解く」ことだと考えられないだろうか。

 最大の謎は、キッサキ神殿とレジギガスの関係である。ダイヤモンド・パール、プラチナにおいてはキッサキ神殿にレジギガスが現れるが、その理由については不明である。第7世代現在でもキッサキ神殿に関する情報はほぼ存在せず、点字文明はおろかやりのはしら文明との関連性すらも見出すことができない。

 

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8. 134番水道の海中で見つかる点字の文章

134番水道から”ダイビング”して道なりに進んだ先の海中で見つかる点字の文章。「ここであがれ」と書かれており、浮上するとおふれの石室に至る。

 

レジギガスが「引っ張った」大陸の行方

  本考察で立てた仮説のように「ナナシマからホウエンレジギガスが大陸を引っ張った」のだとすると、その大陸は現在のホウエン地方のどこに存在するのだろうか。この点についても、その根拠となりうる知見や物証は確認されていない。レジギガスが大陸を引っ張ったとき、その経路は海であったのか、あるいは陸であったのか。「引っ張った大陸」と「砂漠遺跡」、「小島の横穴」、「古代塚」に関係があるのかについても、今後新しい情報が解禁されれば関連付けて考えることができるかもしれない。

 

ともしび山、「ルビー」、「サファイア」について

  ナナシマの点字文明については、点の穴については本考察で言及してきた。しかし、1の島のともしび山に記された点字については不明である。ナナシマにおいては1の島(ともしび山)と6の島(点の穴)に点字文明が存在した後が確認できるが、ともしび山と点の穴を関連付ける証拠は見つかっていない。強いて記述するならば「ルビー」と「サファイア」の2つの石であるが、これらの石が点字文明においてどのような位置付けのものであったのかは不明瞭である。点の穴に記されている、「ひかり かがやく ふたつの いし ひとつわ あかく ひとつわ あおく ふたつ ちからで かこがつながり ふたつのちからで ひかり かがやく そして あたらしい せかいが みえてくる つぎの せかいを つくるのは あなただ もー はじまっている」(文3 B) とはどういう意味だろうか。ファイアレッドリーフグリーンの登場人物であるマサキとニシキはルビーとサファイア(「ひかり かがやく ふたつの いし」)を他の地方との通信のために利用したが、2つの石の、点字文明の古代人の利用法とはどのようなものだったのだろうか。ホウエン地方にはたいりくポケモングラードンとかいていポケモンカイオーガに関与する「べにいろのたま」と「あいいろのたま」が存在する。ルビーとサファイアと関係があるかもしれない。

 

レジギガスの能力に関する謎

  レジギガスにはレジロックレジアイスレジスチルを創り出したという伝説が残されている (文4 B, C)。前述したように、これは「レジギガスアルセウス以外の生命を創り出す力を持った存在」であることを意味している。しかし、世界の万物を創造したのがアルセウスだとするならば、アルセウスは自身以外に生命を創り出す能力を持った存在を生み出すだろうか。本考察で仮定したように、レジギガスのこの能力がアルセウスとの対立要因であるのだとすれば、レジギガスを始めとした巨人達はアルセウス天地創造によって誕生した存在ではない可能性が考えられる。

 

「レジ」の名を持つ巨人が宇宙から飛来した可能性

  ポケモン図鑑の記述によれば、レジスチルの体を構成する金属は地球上には存在しない正体不明の物質であるという (文10 C)。地球上に存在しない物質が、一体どこから現れたのだろうか。1つの可能性は、レジスチル(もしくは、伝説でその材料とされたマグマ)が宇宙から飛来した可能性である。特にホウエン地方は隕石にまつわる話が多いため、太古に飛来した隕石に由来する可能性は十分に考えられる。また、同じくポケモン図鑑の記述によれば、レジロックの体は世界中のあらゆる地層から見つかる岩石で構成されているという (文10 A)。この記述は一見不可解に思えるが、「レジロックがあらゆる時代に世界を巡った」ということではなく「元々1つだったものが世界中に散っていった」と考えれば説明がつく。大気圏で砕け散った(破壊された)レジロックの体を構成する岩石(隕石、あるいはレジロック自身)が世界中に降り注いだとすれば、世界中のあらゆる地層からレジロックの体を構成する岩石が見つかったとしても不思議ではない。一方で、レジアイスが宇宙から飛来した可能性を示唆する知見は見つかっていない。レジアイスの体は南極と同じ氷で構成されており、氷河時代に作られたものであるという (文10 B)。この氷が地球外に由来するものなのか、あるいは地球に元々存在した水分子が結晶化したものなのかは不明である。しかし、レジアイスの体を構成する氷は炎やマグマでも溶かすことができないという知見も存在する (文10 B)。地球上にはそのような氷は存在しないと考えられるため(道具「とけないこおり」については詳細な性質が不明なため考慮しない)、レジアイスもまた宇宙から飛来した可能性があると考えられなくはない。また、レジギガスに関しても、レジギガスと宇宙を関連付ける知見は現在のところ見つかっていない。

 

   A 

     ルビー、オメガルビー

 

     むかし ひとに ふういんされた ポケモン。たたかいで からだが くずれると

        じぶんで あたらしい いわを さがして なおすと いう。

 

     サファイアアルファサファイア

 

       からだを つくっている がんせきは すべて ちがう とちから

      ほりだされた ものであると さいきんの けんきゅうで はんめいした。

 

     ファイアレッドリーフグリーン

 

         ぜんしんが いわ。のうや しんぞうが みあたらない。

        げんだいの さいしん かがくでも かいめい できないのだ。

 

     エメラルド

 

       ぜんしんが いわと いしで できた ポケモン。たたかいで

 からだの いちぶが けずれてしまうが じぶんで あたらしい いわを つけて なおす。 

 

 ダイヤモンド、パール、プラチナ、ブラック、ホワイト、ブラック2、ホワイト2X

 

       ぜんしんが いわで できている。 たたかいで からだが かけても

            いわを くっつけて なおしてしまう。

 

     ハートゴールドソウルシルバーY

 

         からだを つくっている がんせきと おなじ ものが

         せかいじゅうの あらゆる ちそうで みつかっている。

 

   B

      ルビー、オメガルビー

 

         ひょうがじだいに つくられた こおりの からだは

    ほのおでも とかす ことが できない。マイナス 200どの れいきを あやつる。

 

     サファイアアルファサファイア

 

         マイナス200どの れいきが からだを つつむ。ちかづいた だけでも

      こおりついて しまうぞ。マグマでも とけない こおりの からだを もつ。

 

     ファイアレッドリーフグリーン

 

           からだを ちょうさした ところ なんきょくと

          おなじ こおりで できている ことが はんめいした。

 

     エメラルド

 

           ぜんしんが なんきょくの こおりで できている。

  けんきゅうしゃが ちょうさした けっか ひょうがきに つくられた こおり らしい。

 

 ダイヤモンド、パール、プラチナ、ブラック、ホワイト、ブラック2、ホワイト2Y

 

         ひょうがきに できた こおりで からだが つくられている。

             マイナス200どの れいきを あやつる。

 

     ハートゴールドソウルシルバーX

 

       ひょうがの なかで すうせんねん ねむっていたと いわれている。

              マグマでも からだは とけない。

 

   C

     ルビー、オメガルビー

 

       どんな きんぞくよりも かたい からだを もつ。からだの なかは

    くうどうに なっているらしく たべている ものも わからない ポケモンだ。

 

     サファイアアルファサファイア

 

    むかし ひとによって ふういんされた ポケモン。からだを つくる きんぞくは

      ちきゅうじょうに そんざいしない ぶっしつと かんがえられている。

 

     ファイアレッドリーフグリーン

 

           どんな きんぞくよりも がんじょうな からだは

       なんまんねんも ちていの あつりょくで かためられて できた。

 

     エメラルド

 

       あらゆる きんぞく よりも かたい からだ。からだの きんぞくは

      かたい だけでは なく のびちぢみする しょうたい ふめいの ぶっしつ。

 

 ダイヤモンド、パール、プラチナ、ブラック、ホワイト、ブラック2、ホワイト2X

 

         なんまんねんも ちかの あつりょくで きたえられた

          きんぞくの ボディは きずひとつ つかない。

 

     ハートゴールドソウルシルバーY

 

        どんな きんぞく よりも かたいと いわれる からだ。

       ちょうさの けっか からだの なかは くうどう だった。

 

10. ポケモン図鑑に記載されているレジロックレジアイスレジスチルの説明

A. レジロックの図鑑説明。

B. レジアイスの図鑑説明。

C. レジスチルの図鑑説明。

 

点字文明が繁栄した時代は現代から何年昔の時代なのか

  アンノーン文明が繁栄した時代については、アルフの遺跡が作られたのが1500年前とされていることからある程度予想がつく。一方で、点字文明が繁栄した時代についての詳細は明らかになっていない。ポケモン図鑑における、レジアイスの「ひょうがじだいに つくられた こおりの からだ」、「ひょうがの なかで すうせんねん ねむっていたと いわれている」や、レジスチルの「なんまんねんも ちかの あつりょくで きたえられた きんぞくの ボディ」という記述 (文10 B, C) はアンノーン文明よりも昔の時代を思わせる。しかし、これは「レジ」の名を持つポケモン達についての記述であり、ヒトの文明が繁栄した時代を推測するために使用できる情報ではない。「レジ」の名を持つポケモンについてはレジギガスに関する伝説と歴史上の事実の書き分けをしなければ、点字文明の正体は見えてこないだろう。あるいは、点字文明とその他の古代文明の関係が明らかになれば、新しい見解を示せるかもしれない。オメガルビーアルファサファイアでは、ホウエン地方には「流星の民」と呼ばれる一族が存在することと、かつて古代カロス王朝の王であったAZによってルネシティに大木が贈られたことが明らかとなった。何らかの形で点字文明に関する知見が流星の民やカロス地方から見つかれば、点字文明の背景について新たに分かることがあるかもしれない。かつてホウエン地方を襲ったグラードンカイオーガによる天変地異や、古代カロス王朝の戦争と関連があるかについても何か分かるかもしれない。

 

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9. 本考察で提唱した仮説に基づくポケモン世界の古代文明の相関図

本考察で提唱した仮説のまとめ図。へその岩のホウオウとルギアが同一個体であると仮定すれば、アンノーン文明の古代人はホウオウ、ルギアを追ってジョウト地方に移住したという可能性も考えられる。ジョウトからシンオウアンノーン文明が伝播する際に、レジギガスに関する伝説が一緒に伝わった可能性も考えられる。しかし古代文明に関して明らかとなっている情報はまだまだ少ない。特にアルセウスを始めとしたシンオウ神話で有名なポケモンに関しては史実と伝説が混同されていることが予想される。第8世代以降で新たな情報が解禁されれば、新たな検証や本考察で提唱した仮説の再検証が行えるだろう。

「さいしょのもの」:シンオウ神話にて、世界の創造主(アルセウス)を示す表現

はじまりのま:やりのはしらで「てんかいのふえ」というアイテムを用いることで到達できるとされている、アルセウスが存在する場所。「てんかいのふえ」は第4世代の頃に配信される予定だったと言われているが、実際には行われなかった。このため、はじまりのまに正規の手段で到達する方法は存在しない。本図では、この理由から「はじまりのま」の名称には括弧をつけた。

 

【方法】

 

画像 

 本考察のゲーム画像は、全て筆者のROMを用いたプレイ画面を使用した。プレイ画面はiPhone 7のカメラを用いて撮影し、MacBook Airに取り込んだものを必要に応じて編集した。全ての画像編集及び図の作成は、Keynote (バージョン6.5.2) を使用して行った。

 

使用ROMと本体

 カントー・ナナシマについてはファイアレッドを、ジョウトについてはクリスタル(VC)及びハートゴールドを、ホウエンについてはオメガルビーを、シンオウについてはダイヤモンドを使用した。各ROMの起動には、ファイアレッド及びダイヤモンドはニンテンドーDS Liteを、クリスタル及びハートゴールドオメガルビーニンテンドー3DS LLを使用した。

 

ゲーム中の記述(遺跡の文章、ポケモン図鑑の説明文)

 【参考・引用文献】に示す1から3を参照した。英語版の文章については、4を参照した。

 

「世代」の区分

 本考察では、バージョン(赤・緑など)を「世代」で区分した。赤・緑、青、ピカチュウを第1世代(初代)、金・銀、クリスタルを第2世代、ルビー・サファイアファイアレッドリーフグリーン、エメラルドを第3世代、ダイヤモンド・パール、プラチナ、ハートゴールドソウルシルバーを第4世代、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2を第5世代、X・Y、オメガルビーアルファサファイアを第6世代、サン・ムーン、ウルトラサン・ウルトラムーンを第7世代とした。

 

【謝辞】

 本考察に関して、情報提供や貴重なご意見を賜った方に感謝の意を示します。

 

【参考・引用文献】

  1. ポケモンwikihttps://wiki.ポケモン.com/wiki/
  2. ポケモンだいすきクラブポケモンずかんhttp://www.pokemon.jp/zukan/
  3. ピクシブ百科事典:https://dic.pixiv.net/a/
  4. BULBAPEDIA:https://bulbapedia.bulbagarden.net/wiki/